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2005年7月10日 (日)

誰も教えてくれない出産:8.満足な出産とは〜産院選び篇〜

(2004年12月03日に書いた)

「あなたの出産、満足できるものでしたか?」
そう聞かれれば、「うーん、はい」と答えるだろう。
息子は無事元気に産まれたし、入院生活も快適だった。
なんの問題もない。

しかし、出産後の今改めて考えてみるに、出産前に分かっていれば、もうすこし自分の「お産」について違う考えを持ち、違う出産をしたかもしれないという事がいくつかあるのも事実だ。


■どこで産むか?産院選び

未婚の頃、産婦人科を受診するのはとても憂鬱だった。
誇らしげに待ち合い室に座る妊婦さんの視線がいやだった。
だからなるべく待たずにさくっと診てもらえる産婦人科がよかった。
今回もしや!?と思って確かめに行き、「おめでたですよ」といわれた産婦人科もそんなところだった。そこには出産のための入院施設がなく、出産する病院を紹介すると言われた。

そうか。産むところ、選べるんだ。
さて、どこで産むか。

ここはひとつ経験者に聞いてみるべし。
以下に聞いた話の一部をご紹介しよう。


「もう○○(某総合病院)は絶対やめといたほうがいいよ! 病気じゃないんだから甘えるなって、こっちは出産初めてで心細いし痛いししんどいのに、陣痛に苦しむわたしそっちのけで世間話なんかしてー!」

大きな病院だからそうだとは一概に言えないが、日々何人ものお産があれば、スタッフだって人間だ、ダレてくるのもしかたないだろう、なーんて冗談じゃない!肝心のホスピタリティはどーなっとるんじゃ!


「入院するなら絶対個室がいいよ。相部屋だといっつもだれかの赤ちゃんが泣いてて、だれかの見舞客がしゃべってて、出産の興奮さめやらぬママが話しかけてきて、ぜーんぜん寝られないから」

これはなかなか説得力のある体験談だった。個室かー、そうなると個人病院だろうなあ。

一方で
「□□(某公立総合病院)よかったよー。相部屋だったけど、みんな近所だったから退院したあともおうちを行き来する友達になれたしね。」

なるほどー。相部屋ならではのよさもあるのね。

総合病院で痛い目にあった彼女は、第ニ子は個人医院を選んだ。
「もう、産前の母親教室も充実してるし、LDRだったから分娩台に自力で登らんでもよかったし、病室もきれいでおしゃれだったし、なんてったって食事がおいしくて、退院前にダンナとのお祝ディナーまで用意してくれるのよ〜」

目をキラッキラさせて話してくれたその病院のサービスメニューはまさに至れり尽せりのゴージャスぶり。
ちなみにLDRというのは、Labor(陣痛)・Delivery(分娩)・Recovery(回復)を一つの部屋ですべて行う施設のこと。陣痛でうんうんいってるのにあっちこっち自力で移動しなければいけないのはかなりつらいらしく、この施設は好評のようだ。

いろいろ話を聞いて、「入院は個室で、LDRがあって、ごはんがおいしくて、スタッフが親切なところがいいなあ」というイメージが固まった。それであれば、ゴージャス個人医院でほぼ決まりだ。

しかしそういうところは当然、入院費もお高い。
広島市では出産一時金として30万円の補助があるが、公立の総合病院で出産すれば、それにせいぜいプラス4,5万で済むところ、ゴージャス個人医院ではプラス14,5万〜、という話だ。

以前は「けっ!バッカじゃないの、たかだか出産にそんなに金かけて!どこで産んでもいっしょなんだから、なるべく安く産んで、差額でうまい鮨でもくったほうがよっぽどええわ」、と思っていた。
ところが妊娠し、実際に数カ月後の出産をリアルに考える身になれば、
一生に何回出産する?せいぜい1,2回じゃない?だったら少々高くてもかまわん、
そんなことよりも、いかに快適に産むか、それが一番大事。数万円の差額なんて安いものだ。
そのために今まで働いてきたんじゃ!
・・・結局自分かわいさゆえ最大級の待遇を望んでしまうのであった。


というわけで電話帳をめくって個人医院を中心に、まずは電話でいろいろ質問をしてみた。
入院は個室?入院費用は?産前の母親教室はありますか?
いやー、電話対応ひとつでその病院のホスピタリティーのレベルが知れるから恐ろしいもんだ。
電話で邪見にされるようなところは現場でもぞんざいに扱われるにちがいない。

そして、すごく丁寧で親切な対応をしてくださった産院があった。
なんか、ピンときた。
ので、受診し、先生も施設も感じがよかったので、そこで産むことに決めたのだった。

その結果は? 大正解だった、と思う。
スタッフの方々はみんな親切で、きれいな個室で、ごはんもおいしくて、大満足だった。

でも、大満足したのは「母親になる以前の自分」だった。
母になってみて、いかに「産むこと」の意味を知らなかったか痛感する。

産んだら、あかちゃんがいるのだ。
産まれてきたあかちゃんにとってのベストは何なのか。
そんなことはこれっぽっちも考えずに、自分のことだけ考えて産む場所を決めてしまった。
出産が、まるでゴールのように思っていた。
それは大間違いで、出産は、あかちゃんとの生活の大事なスタートなのだ。
でもそれは、産んでみるまで分かりようがなかった。

それが分かっていたら、産院選びはもう少し違っていたかもしれない。

もし、「出産はあかちゃんとの生活のスタート」だと意識して産院を選んでいたとしたら・・・
よりよいスタートをきれる出産、それは一体どんな出産なのだろうか。

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