こどもの絵本、ちょっとすごい
息子が産まれてから、絵本をいただいたり買ったりすることが増えた。
不思議なもので、今までさっぱり忘れていたのに、本屋で突然お気に入りだった絵本を見つけることがある。
わたしが絵本を読んでもらったりしていたのはもう数十年前。なのにこうして本屋にあるなんて!
懐かしさもあって、息子にはまだ早いかなと思う絵本もついつい買ってしまう。
そんなこどものための絵本を長年編集されてきた福音館書店(現相談役)の松居直さんの手記を読んだ。(「編集とは何か」藤原書店)
こどもの本は、こどもが読むものなのに、大人が選んで買う。
ここに絵本の編集の難しさがあるのだという。
たとえば今でもベストセラーの『いやいやえん』、これを書いた中川李枝子さんは当時無名のひとだったけど、かつての絵本にはない文体だった。ぜひ絵本にしたくて、どうしてこんな文体ができるのかと尋ねてみたら、中川さんは保育園の保母さんだったのだ。
いつも子供の声をそばで聞いているから、イメージがはっきりしていて目に見えるような語り、そして息づかいがあるような文体がそこから産まれたのだ。
大人の視点で書かれたものではなく、こどもが読んで喜ぶものであることが大事、そのために文体と絵とのかねあい=「編集」が大事なんだと。
そして対談ではこうも話されていた。
今絵本を読んでいるこどもたちが大きくなった頃の未来には、今では考えられないようなことがおこっているかもしれない。少子化も歯止めがきかず、移民などの問題もある。
そんな世の中を生きるために、異人種、異文化、異言語をどう受け止めいかに共存共生するのか、そのための感性や知性を今のこどもたちの中で養い、将来に向けて備えをすること、これが絵本編集者の重大な課題である、と。
絵本を選ぶのに、それを読んで育つ息子の将来を考えて選んだことがあっただろうか。
「こどもだまし」なものを与えてはいなかっただろうか。
編集者の、こどもに対する愛と仕事に対する自負、すごいなあ。かっこいいなあ。
ここまで考えて絵本を作っている人の絵本、ぜひとも息子に読んで聞かせてやりたいと思った。
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