とうとう、おっぱいを止めた。
息子ちょび2さい、生まれてはじめての試練であった。
おっぱいを止めるにも、卒乳と断乳とがあって、
読んで字の如く、
卒乳とはだんだんおっぱいへの執着を減らし、
自然とバイバイする方法、
断乳とはある日突然おっぱいを絶つ方法、である。
まーいつかそのうち卒乳するでしょうとタカをくくって
まもなく2さいの誕生日を迎えるころとなる。
おっぱいちゅうちゅうする顔がかわいかったし、
ムキーとなったらサッとちち、ですべて解決していたし、
いつまでも続けていても構わないとも思っていた。
が、しかし、夜中に何度もちちを求めて目を覚ますので、
ちりも積もって寝不足がきつくなってきた。
しかも、ちちがないと寝られないので、
わたしが出張等で不在の夜、
号泣し家中ちちを探しまわる息子の後をなす術もなくついてまわるオットとの壮絶な修羅場が朝まで続くこととなる。
これに懲りたオットが、こう言いはじめた。
「2さいになったら、おっぱい止めるんよね?」
ちょびは「あははは、ま〜さか〜」という顔で
げししと笑っておっぱいに顔を埋めていた。
わたしも「そうよもう2さいじゃもんねー」
などとからかっていた。
言霊というのか、そう言い始めるとだんだんそんな気になってくるから不思議だ。
迷った。ほんとに止めるのかどうか迷った。
あの、おっぱいしながら上目遣いに見つめるサル顔がもう見られなくなると思ったら、たまらなく切なくなった。もうちょっといいじゃないかとも思った。
でも、いつか止めなくちゃいけないなら、それは今ではないか、
そう自分を納得させ、オットにも「誕生日でやめる」断乳宣言をしたのだった。
節分の日の誕生日まであと1週間となり、おっぱいをせがまれるたびに
「ええっ?もうすぐ2さいなのにもしかしておっぱいするの?」
「げししー。ちちしてーぃ」
「もうあとちょっとでバイバイよ、しっかり飲んどいてー」
「でへへー」はむっ ちうちうちう・・・
という儀式を繰りかえしていた。
そして、2月1日の朝、
ちちばっかりせがんでごはんを食べようとしない息子を見て、
なぜかわたしはかたくなに、おっぱいをさせなかった。
2月3日の、お誕生日のうれしい日に、断乳というつらい儀式をするのもいやだったし、なんだかそのとき、もう、ちち出しちゃだめだと思ったのだ。
もちろん、息子はわけが分からず号泣する。
なんで!?なんでよ!?昨夜までポロリとでてきたちちがなんででてこないのよ!?ここにあるのにどーして隠してるのよ!?意味わからん!?なんでなんでなんで〜〜〜〜!!!???
「もうね、おっぱい、バイバイ、なの!」
!!!
もうパニックである。
それでも保育園に行かさねばならぬ。
野生化して暴れる息子をオットと二人で羽交い締めにして服を着替えさせ、パトカーやらわんわんやらきゅーきゅーしゃやらなんやらを持たせたり投げられたり拾ったりしながら、なんとか車に詰め込んで連れて行ったのであった。
そして、その日の夜。
いつも通り保育園に迎えに行き、帰宅すると、もうカバンを置く間もなくちちちちちち・・・
と、思いきや、これが静かなのである。
しょんぼりと、うらめしそうに、胸のあたりを見つめ、
「ちち・・・」とつぶやきながら、そっと触ったりするだけだ。
あれま!すんなりあっさりあきらめたねえ。
「ちょびはええ子じゃねえ。もう、2さいじゃもんねぇ」
目をほそめるかーちゃん。
しかし、そうは問屋がおろさない。
そんなに簡単なもんじゃなかったのである。
《続く》
おまけ

きゅ〜〜っとね。プハー =3
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