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2006年3月20日 (月)

断乳一部始終【後編】

2さいの誕生日2日前の朝、突然訪れた「断乳」。
昨日までポロリちゅーだったちちが出てこない、
この驚愕の事実を受け入れられずパニックとなったちょび。

しかし、保育園に行って帰ってきたその晩、やつは激変していた。

さー帰ったらまたちちをめぐって激しい攻防が・・・と思いきや、
さっぱり、しょんぼり、静かなのである。
どことなーく恨めしげな目で、じーっとちちをにらみ、
「・・・ちち・・・」とかすかにつぶやくだけなのである。

あらー、よかった。もうあきらめた?えらいねえ。
ほっとしたのもつかの間、あれ?なんかへんだ。

おいで、と言ってもこない。
だっこしようとする腕をすりぬけてゆく。
部屋の隅でやさぐれた目でうずくまる息子は、
まるで捨て犬だった。

ひょっとして・・
もしかして、お前、
かーちゃんに嫌われたと思ってる??

おっぱいダメ

お前なんぞに飲ませるちちはねぇ!

もうかーちゃんワシのこと嫌いなんじゃ

そういう図式になってる??

いかんいかん!そうじゃないんだようう〜〜
慌てて息子を無理矢理抱きしめた。
「あのね、おっぱいはもう、バイバイなんよ、
でもね、かーちゃんちょびのことはだーいすきよ!
ちょびのこと嫌いじゃけおっぱいせんのんじゃないんよ!」
そう、何度も何度も、耳のところで話して聞かせた。

かたくなだった表情がふとゆるみ、泣き顔になって、
「ぢぢ〜〜〜〜〜ぢぢ〜〜〜〜〜〜」
おっぱいもみもみしながら号泣である。

おっぱいって、こんなに大きな存在だったんだなあ。
おっぱいやめることって、ものすごいことなんだ、
改めて思い知らされたのだった。

かといって、もう後には戻れない。
どんなにせがまれても、おっぱいは出さなかった。
そのたんびにギュ〜〜〜ッとして、しゅきしゅきしゅき
ちゅ〜〜〜の嵐でかわした。

普段はなんとなく理解できていても、
眠さで理性が吹っ飛ぶと抑制がきかない。
寝入りばな、夜中、明け方、何度も何度も泣きながら目を覚まし
「ぢぢ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」とちちを探す。
そのたびに抱きしめて、呪文のようにしゅきしゅきしゅき・・・
それを繰り返した。
ちちしていたときよりも寝不足である。

そんなことが3日も続いただろうか。
だんだん、あきらめかけてきたそのころ、
こんどはおっぱいに異変が。
吸われないおっぱいが、パンパンに張ってきたのである。
もうほとんど出ていないと思っていたけど、
やっぱりおっぱい出ていたんだな。
仕事中も胸が痛い。
センチメンタルになっているのではなく、
ガチガチになったちち、触るのも痛いのである。
トイレで乳しぼりして圧抜き。
あんまりしぼるとまた作られるので、そっとしぼる。
久しぶりに乳パットでこぼれるおっぱいを受ける。
うう、こんなことなら吸ってほしい・・・
夜中の風呂で吸うあてのなくなった乳をしぼるのは
さみしいものだ。
じぶんのちちにむかって「あきらめろあきらめろ」
と言い聞かすのだ。
ちちは、涌き溢れる愛を与える対象を失い、
戸惑い、悲しみ、白い涙をこぼす。

徐々におっぱいはあふれなくなり、
やがてしょぼーんと、あきらめてしまった。
息子も、「えへへ、おっぱい?」とおどけながら
パジャマのボタンをちゅーちゅーしたりするけれど、
お風呂でちちを見ても、吸いつこうとはしなくなった。


ちちを止めるということは、
ちち以外の、愛を与える方法を新しく模索する、
二人の関係を再構築することでもあった。

今までなにか哀しいことや腹が立つことがあっても、
ぜんぶちちが解決してくれた。
しかし、ちち無き今、それに変わる解決法が必要で、
今まで以上に大声で泣くことが増えたし、
じだんだも踏むし、やり場のない思いが度々爆発する。
そのたびに、わたしもちちのかわりに
ギュ〜やちゅ〜や、あるいは絵本やおもちゃや
時には逆ギレなどで受けて立つようになった。
ちち以外の、コミュニケーションをせざるを得なくなったのである。

ああ、もう赤ちゃんではなくなったんだなあ。
こども、になった瞬間である。

ちちをやめて、やつは俄然まんまをたくさん食べるようになった。
夜は一度寝たら朝まで起きない。
朝になっても起きない。
ちゅ〜の味をしめて、かーちゃん化粧がなくなるほどちゅ〜される。
笑いながらちゅ〜するので、ほぼ噛まれている状態である。
言葉もどんどん増えてきた。もう止まらない。

断乳、どうやら乗り越えたようです。
よくがんばったね!

これから、いろんな「心の断乳」がたびたびあるんだろう。
そのたびにぶつかり合いながら、超えて行くんだろう。
息子は、案外強い。
かーちゃんも、一緒に強くなっていくよ。

こうしてはなみ家の断乳儀式は幕を閉じたのでした。

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コメント

すごい・・・断乳って、こんなに激しいものなんですね。
世の母たちは、皆さんこのような葛藤と格闘を経て、
断乳してらっしゃるのでしょうか?
私、断乳できないかもしれない・・・と不安になりつつ、
はなみさんとちょびちゃんの話にホロリときてしまいました。
なんだか、私のチチでもよかったら、ちょびちゃんに
あげたくなったりして。ははは。さすがによその
おばさんのチチに興味はないでしょうなあ。

投稿: 伊藤家(嫁) | 2006年3月25日 (土) 午後 01時32分

友人たちは案外すんなりおっぱいバイバイした人もいるんですよ。
保育園にいかせてなくて、かーちゃんいっつも側にいる安心感があるからでしょうか。
ウチは一緒にいる時間=おっぱいだったから、余計に激しい葛藤があったんだろうと思います。
嫁さまのチチ、ちょびは照れまくりでしょうな(笑)

投稿: はなみ | 2006年3月29日 (水) 午後 06時20分

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