きもの患い
また発症した。きもの患い。それも重症である。
きものを着はじめたのはお茶を始めた頃で、
4ヶ月間無料着付け教室にて着かたを習い、着られるようになったところで最初の病が発病した。
きものが欲しい!
母のたんすからもらったものが何枚かあって、
若い頃仕立てたいいものなのよ、というものも
いろいろもらったし着たのだけど・・・
ちょっと裄が短いのと、やっぱり趣味が違うのが大きいのか、
違う、なにかが違う、
それからヤフオクに手を出し、血眼で競り落とし、
届いて広げて似合わず愕然、なんて馬鹿なことを
繰り返し繰り返し。
東京に遊びにいって、古着屋で身代つぶすほど
どっさり買ったりもした。
しかし、まだ満足できない。
それは、目が肥えていなこともあって
いい買い物ができなかったこともあるが、
自分はなにが着たいのか、それすら
分からずにぐるぐるしていたことが大きい。
どんなきものが着たいんだろう。
「きものサロン」的な、上流な華やかさは憧れるけどちょっと違う、
「KIMONO姫」的なガーリーな世界はかわいいとは思うけどこのトシではやり過ぎである。
別冊太陽の「昔きもの私の着こなし」の中でそれは見つけた。
金糸で経縞を織り出した焦げ茶地の紬織に八掛は芥子色無地、
帯は赤い生命の樹が描かれた古渡印度更紗の名古屋帯、
同じきものに中国の官服地の五爪の玉取龍が表された青い帯。
しびれたー。かっこいいー。素敵ー。
更紗の帯、いいなあ。
しかし、アンティークの更紗なんて¥¥¥・・・
仕方なくジャワ更紗もどきの布団地のような帯をアンティークで購入。
いくら陰干ししてもタンスのにおいがとれないので、頭にきて洗濯。
アイロンかけたらしゃきっとなりました。
帯洗うなんてド素人の無茶苦茶であります。
「和楽」という雑誌に連載されていたものが
本になっていた。森田空美(あけみ)の知的きもの入門。
今まで呉服屋さんなどで、伝統工芸品が持つ一面の
古さ、今の洋服の感覚から大きくずれた野暮臭さなどを感じていたけど、
この方のコーディネートはすっきりモダンで、街に違和感のないきもの姿となる。
すてき。でも、
●森田空美シンプルモダンきもの
結城紬 税込1,659,000円、袋帯 税込661,500円
帯〆 税込13,650円、帯揚 税込18,900円
(そごう心斎橋店での一例)
いいものはいい。それだけの価値があることもわかる。
でも、着るものにそれだけのお金をかけることは
庶民のわたしには夢のまた夢である。はーーーーー
なんとか、そんな「いいなあ」に近づこうと
似たようなものを探し、お小遣いで誤摩化して買えるくらいのものを
血迷って買ったり、ちっ、値段は正直だぜと悟ったり、
そんな小銭をあわせればけっこう立派なものが買えただろうに
まさに「安物買いの銭失い」の王道を邁進中である。
今欲しいのは襦袢と帯締め。
夏にかけてきりっと硬く細い帯締めが欲しい。
道明の。
あああああああああ
気がつけばきものに関するサイトをめぐり
あーでもないこうでもないと思いは尽きない。
最初に発病したときには妊娠が発覚し、
ほどなくお腹がでっかくなって着られなくなり、快癒。
しかしこの度はどうも治まりそうにない。
こうなったら「これが着たかったんだ」という
納得の一揃えができあがるまで、いってみますか。
・・・働かなくては。
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