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2006年4月19日 (水)

茶芸報告

遅くなりましたが、茶芸デビューの顛末をば。

先日、とあるご縁をいただいて、茶芸デビュー
させていただきました。

4月1日(土)午後2時〜 中国茶のお茶席
4月8日(土)午後2時〜 お煎茶のお茶席 
2週に渡って人様に粗茶をさしあげるのです。
気合い入ります。


Photo_3

■4月1日、中国茶のお茶席
少し早くて桜はまだほころんだばかり。
薄曇りの肌寒い河岸緑地はひともまばら。
らぐ・たいむさんのお店の前に仮設テントが張られ、
長机1本ずつ2ケ所でお茶のおもてなしをしました。
参加者のみなさま、それぞれにアンティーク着物をうまく
着こなされていて、そういう人たちをおもてなしするのは
とっても嬉しいことでした。


Photo_4


お茶は2種類用意。
台湾の「杉林渓烏龍茶」という高山茶と、
中国広東省の「鳳凰単叢 雪片玉蘭香」です。
杉林渓はぐりぐりっと丸まった茶葉で、
海抜1800mもの高地に育ったため
やさしく甘い香りとやわらかな味がします。
水色は淡い若草色。
一方、鳳凰単叢の茶葉は細長くかさがあり
水色はあんず色。
いれるそばからすばらしい香りがたちます。
この2つを、それぞれ3煎から4煎ずつ、
聞香杯(細長い、香りを楽しむためだけの器)を使って
愉しんでもらいました。

「まずはこの細長い器に注ぎますので、それをゆっくり
もう一つの飲杯に移して、香りをかいでください」

一同、す〜〜〜〜・・・・
「うわぁ・・・・」
はじめてこの香りをかいだら、
中国茶って一体、何!?ほんとにびっくりすると思う。

「なんだろう、甘い香り」「花のような」
「ああ、飲んでもいいかおり」「おいしい」
緊張した面持ちもほぐれて、口々に思ったことを話しつつ。
それこそが茶飲みの面白さ。
杉林渓は上品で香りと味のバランスもいいのだが、
鳳凰単叢は香りと味のギャップに誰もがびっくりする。
蜜のような南国の果物のような濃厚な甘い香りに
うっとりしつつ口に運ぶと、
「うわ、渋い」けっこうタンニンが強いのです。
「へ〜〜香りと味の印象がこんなに違うなんて」
みなさんびっくりされます。そうでしょうそうでしょう。
「わたし、このお茶の香りが一番好きなんですよ、
こうやって聞香杯鼻にくくりつけて一日いたいほど」
あははは、場もなごみます。
緊張はしましたが、お茶の力はすばらしく、
たちまち飲むひとを虜にして、うっとりため息。
お茶や道具にまつわる四方山話も楽しく、
5名×4席、無事終了しました。


■4月8日 お煎茶のお茶席
問題はこちら。
日頃の稽古不足をどう誤摩化そうかそればかり、
あいや、きちんと間違えないでできるか
もう緊張。
道具はすべてお師匠が心を込めて選ばれたもの。
鳳凰の色留袖を召されたお客様がいらっしゃることを事前に知って、
お茶碗は赤に鳳凰が舞う金襴手でそろえられた。
準備からすでにおもてなしがはじまっている。
折しも花は盛り、晴れやかな花見日和の午後。
筏普通式(いかだふつうしき)というお点前は
堤欄、いわばピクニックバスケットからお道具をとりだし、
お茶をいれ、清めて仕舞うもの。
お師匠はMCをつとめられ、不出来な弟子の粗相に
目がいかないように必死でトークされる。
「青嵐」という茶銘が呼んだのか花吹雪。
緋毛氈に花びらがはらはら舞って、これ以上ない景色。

さて、トップバッターはこの日お点前デビューとなる
見目麗しい彼女。
わたしは童子(お運びさん)としてそばに控える。
春らしい綸子の小紋がよくお似合いのその肩が
緊張のあまりかちんこちんである。
しかし特訓のかいあって、間違えずスムーズに進行。
お茶もおいしく入り、いただいた方々は口々に
「ええっ、これ、お煎茶?」
「甘い、というか、旨味がすごいですね」
「お出汁のような」
「おいしいわー」 絶賛でありました。
「粗茶でございました」と同時に拍手。
見事デビューを飾りました。

さて、いよいよわたくしである。
シャドーお点前もばっちり、のはず、だが
しかしいきなりまちがえる。
しかしぜんぜんそんなそぶりも見せずしらっと進行。
そういうのだけ得意である。
やっぱり覚えていたつもりでも手が覚え切っていないのね
ちょいちょい間違えた。

そして、なんというかこれはサービス精神?か
要所要所「見得を切」ってしまうのである。
たとえば、懸垂の上で茶碗を持った手首のスナップをきかせてくるりとすすぐ場面。
ひとの目を意識しすぎて、くるりっっっとやり過ぎの感が。

なんでかというと、まだぜんぜんお煎茶を知らなかったころ
お煎茶のお点前を拝見して、どーもこう
見所と言うか、いまいちよくわからなかったからである。
その後習いはじめて、自分なりにへーと思ったところ
茶碗をすすぐところや、盆をふくところを
ことさら説明するように強調してみせていたのだと思う。

お煎茶のお点前と聞いて、堅苦しいんだろうなと
すこーし敬遠している感じの参加者の方に
ちょっとでも見所を感じてもらおうという
ショーアップ感である。

しかしそんな余計なものは必要なく、
お師匠のMCはさすがに上手で、
堅苦しくないのよ、こう楽しむんです、と
お茶を知らない人にもわかりやすく楽しく話されて、
お客様の表情はどんどん和らいでいった。

お点前覚え切っていない者が余計なことをするのは
お茶のこころにまったく添っていない、
と反省。

最後に、お師匠がお点前された。
主宰のご主人たちをおもてなしされた。
なんというか、こだわりなく、流れるようにしずかに
お茶をいれられる。
お点前をしていますっという気負いもなく、
春の夕暮れ、美しかった。
末席でわれわれもいただいた。
まだまだ、道は遠いと思った。

お客様が見えられて、お話ししつつ、
おいしいお茶をすっとさしあげる。
そんなふうになりたいなあ。
お点前の順序で頭がいっぱいでは
まだまだであります。

このたびは、お粗末様でしたが、主宰の方にも
お客様にもなんとか喜んでいただけたようで
うれしかったです。
そして、ものすごい勉強になりました。
「誤摩化す」ことのかっこわるいこと!
ちゃんとしよーっと。
ありがとうございました。

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