新茶飲み倒し
今日は尾道へ。
今川玉香園茶舗の新茶Cafe〜聞き茶を楽しむ、に行ってきました。
なにやら豪雨の気配、と思いきや晴れ間も見え、
時折の雨にも遭わずにすんだ。日頃の行いがよいとみえる。
同行はいつもの煎茶お稽古衆&お師匠。
産後お休みしていた彼女も息子とともに颯爽と参加。
またこうして茶飲み話ができるようになったねぇ。
ここでは毎年新茶が出揃う時期になると
こうして各地のお茶を取り揃え、
飲み比べ聞き比べのできる新茶カフェを開かれている。
わたしは3年ぶりの参加。
一昨年昨年は息子が小さいのもあって見送っていた。
商店街のアーケードが途切れた先、細い道を右に折れたら
懐かしい土蔵が見えた。
130年前のものを移築した土蔵は堂々と美しい。
ここの二階では茶葉が熟成保存されている。
靴を脱ぎ蔵の中へ。中のしつらいも素敵。
入り口に、今年の新茶たちが並んでお出迎え。
静岡・島田
静岡・藤枝
宇治.和束
八女・星野
鹿児島・知覧
鹿児島・南薩
品種は南薩がさえみどり、他がやぶきただったかな。
まずはいきなり茶葉の色と香りをチェック。
茶缶をまわしてはクンクン。
鮮やかな緑、つやつやとしてまさに新茶。
香り、中には「海苔!?」というものも。期待が高まる。
奥のお座敷に通される。
もちろん全種類オーダー。
それぞれ2煎ずつ聞き比べていく。
今年は手元資料として、それぞれのお茶の違いが
客観的に分かりやすく示された図表が用意されていた。
味わいも、旨味、爽やかさ、香り、苦み
それがどんなバランスで感じられるか、
産地の標高、味わいの印象・・・
中国茶ほど味わいや香りにさほど劇的な差がない
煎茶を聞き比べるにあたって、
そういったプロフィールが紹介されているだけで
目安になっておもしろかった。
さてさっそくいただいてみるとする。
そそそそ、とお師匠のもとにお道具が寄せられ、
不出来な弟子たちはただおいしくお茶が入るのを
いい子して待つのであった。(感謝)
さすが新茶!
目にも鮮やかな、ちょっと蛍光黄緑、ともいえる
鮮やかな水色である。
まずは静岡・島田産から
「・・・・・・・」一同沈黙。
爽やかな、新茶らしい、すっきりとした飲み口である
が、
「なんか小さくまとまった、って感じだね」
続いて静岡・藤枝。
やや高めの温度でさっといれると
「わー静岡って感じ」
どちらかというと静岡のお茶は
きっぱりとキップのいい味というか、
旨味よりも爽やかさが主体、というイメージだ。
そして渋みで舌が狂う前に、宇治のお茶へ。
やっぱり例年宇治のお茶は「さすが」の貫禄なんだそうだ。
お稽古でいただくお茶も宇治のお茶、
舌もそれで慣れているので期待が高まる。
うまー!の準備をしていざ、
「・・・・・・・・」
あれ!どうした宇治!?あれーっ?
八女・星野のお茶を飲んで、やっと
「はー、これこれ」
旨味がぐっとのってきた。
そこへ今川のご主人が。
なんでもお話によると、
九州のお茶はちょうどいいタイミングで茶摘み・製茶ができて
旨味も十分のってるんだけど、
静岡のこのお茶は茶摘みの前に雨にたたられてしまった、
宇治もちょっと早くて、もう1週間違えば
ぐっと旨味がのってくると思う、ということだった。
お茶も農作物なんだなーと改めて実感。
鹿児島・知覧茶はユニークな試みで、
すこし醗酵させているんだそうだ。
中国茶・青茶の作り方を視野に入れて、とのこと。
ほんの少しの醗酵でこうも違うのか、
花の香りが生まれているのだった。
「なにかこう、蜜のような甘い香りじゃなくて、
アカシアのような白い花の香り」
柑橘系の花、そんな香りがすっと後に残る。
同じ知覧のお茶2種類でっかい茶袋で持ってこられ、
香りの違いを聞かせてもらった。
袋を回して鼻突っ込んで猛烈にクンクンする面々。
あ、こっちがなんかポリエチレン?アンモニアっぽい?
「はい、そちらが醗酵させているお茶です」
茶の醗酵というのは味噌などのように微生物によるものではなく、
茶葉自身が持つ酵素が酸化していくことを言う。
煎茶の場合、摘み取ってすぐに蒸すことでその酸化を止める
のだが、この知覧茶は蒸す前にすこし置いて
醗酵させる試みをされたのだそうだ。
お茶の生産者の方々も、茶を丹誠込めて育てるだけでなく、
製茶の方法を模索し、魅力的なお茶作りに心砕かれているのだ。
そして今川さんのようなお茶屋さんは、
飲むお客さんの反応や感想や意見などを見聞きし、
生産者の方々にフィードバックしてつなぐ役目を
担われているんだと思った。
鹿児島の南薩のお茶は深蒸しで、浅いものは
25〜30秒ほど蒸すところを、これは
1分30秒も強い蒸気で蒸しているんだそうだ。
従って茶葉は壊れやすく、こなこなになっていて
そのぶん鮮やか素直に抽出されて、
「なんか茶畑で人のいいじいちゃんに、よう!って
挨拶されたみたい」な感じであった。
特別に、去年の宇治茶を1年、土蔵で寝かせた
熟成茶をいただいた。
茶葉は黒光りして威風堂々。
味も香りも、どっしりと深みを増し雑味は陰をひそめ
寝かせることでこうも育つのか、と
しみじみといただいた。
新茶は芽吹きの勢い、命そのものをいただくような
初々しさがあって、
身も心も清々しくなるような美味しさだと思う。
だけど、夏を超すことでまろやかさと深みが加わる。
熟成してこその味わいもあるのだ。
人として、もう新茶の勢いは失せた身にとって
せめても円熟、かくありたいと願うのだが
湿気たりのぼせたりで、なかなか旨い茶にはなれそうにない。
飲んだ飲んだ茶腹で満足。よー遊んだ。
長江(チャンチャン)さんで豚饅(1コ80円・美味也)を土産に買って、
そのとなりでちょいと手ぬぐい一枚買って、
美しい夕暮れ、帰路についたのだった。
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コメント
玉香園さんお元気でしょうか。
去年ドラゴンでお会いしました。
そういえばもう新茶の季節なんですね。
今日は久々の晴れ間、新緑を愛でながら
お茶を楽しむのもよいですね。
投稿: nori | 2006年5月20日 (土) 午前 08時52分
そういえば、先日、案内が来ていたなぁ。
3年前の住所宛に。
転送期間を過ぎた後はどうだったのだろう?
それよりも、今回良くハガキがたどり着いたものだ。。。
投稿: ぬる | 2006年5月21日 (日) 午前 01時20分
新茶Cafe遠くからよくおいで下さいました。
ありがとうございます。
今日宇治から新茶の見本が届きました。
濃い・薄いで言えば、今年は味薄いかなー。
でも味は薄くても、「爽快感」は目を見張る底力を発見!
これをある産地のものとある割合でブレンドすると・・・、
ひゅーーーー、って口の中に新茶の風が通り抜けていきました!
「宇治らしい」ブレンドにするには、あそこと、ここと、あれと・・・、って思います。
うちだと今年の特徴を引き出すようなお茶にしてあげたいなと思いました。
今年の蔵出しをどうぞお楽しみに~。
投稿: 今川 | 2006年5月23日 (火) 午後 03時49分
はなみさんお久しぶりです!
拝見したところ、ちょび君の成長と共に、日々の生活に少しゆとりが出来たようですね。
私の息子もお陰様で順調に育ち、早10ヶ月。
来月から保育園に入ることになりました。
現在はお試し保育期間ですが、朝風呂は基本的に私の役目。
これから毎朝戦争のような早朝を迎えなくてはならない事を考えると・・・はぁ。
でも、妻と息子の為に私も頑張りますよ!
考えてみれば、こういうどたばたも今の時期しか経験できないことなのですからね。
投稿: ジロー | 2006年5月23日 (火) 午後 07時38分
noriさんこんにちはー。
そうそう、新緑眺めながら飲む新茶は、体の中から
ぴかぴかにしてくれそうな爽やかさですよー。
お、ぬるちゃんひさしぶり!
なんか某そば処で見かけた情報が。。。修行中!?
またうまーいのたべたいな(さりげなくおねだり)
わわ、今川さん、こちらこそようこそですー。
ほんとじっくりまったり堪能させていただきました。
ありがとうございました!
そうそう、産地のお茶それぞれを楽しむのもいいいけど、
ブレンダーの手によってもっと魅力的になったりするのが
日本のお茶の素敵なところですよね。
ひゆーーーーっか〜〜〜!いいな〜〜〜〜
蔵出しも楽しみにしていますね!
(ついしん:みどりちゃんかわいかった!!!女の子いいな〜)
ジローさんお久しぶり!
わわわ、息子ちゃんもう保育園かー!
人様のお子は成長が早いとukaも言っていたがほんまですね。
今はそんなに風邪も流行ってないから・・・
といいつつも雑菌に強くなるまではたいがい
病院通いだと思います。
でも!それを乗り越えたらみちがえるほど丈夫になるのです!
息子もデフォルトでハナたらしてるけど、
熱はほっとんど出さなくなりました。やっとー。
ジロー家戦闘態勢ですね。みんなのチームワークが
なにより大事です!とーちゃんかーちゃんが体調くずすと
がったがたになるので気をつけて!
がんばってねー。
たまには息抜きにきてねー。
投稿: はなみ | 2006年5月24日 (水) 午後 03時48分