過去に学ばない
今朝新聞をだらだら読んでいてはた、と目が止まった。
それは「祝祭と奇跡ー村上龍のW杯レポート」で、
『なぜ急ぐ後任監督選び』という見出しがついていた。
日本が予選敗退し、今や話題はすっかり
ジーコ監督の後任選びに移っている。
村上龍氏は、新監督専任の前に
ジーコの戦術や采配を今一度検証すべきだという。
続いての本文を無断転載。
「日本社会では、失敗の原因を探り、責任の所在を
はっきりさせて、将来的な改善のために綿密な
データを作るという考え方が希薄だ。
たとえばオウム真理教の事件でも、どうして
あれほど多くの高学歴の若者たちが
怪しげな新興宗教に取り込まれてしまったのか、
いまだに数多くの謎が残されたままになっている。
なぜ日本をそれなりの予算をかけ専門家のチーム
を組織して当事者からあらゆる情報を収集しなかったのか
と海外の友人によく聞かれる。
そうすればカルト宗教とテロについての貴重な
データベースを作ることも可能だったというのだ。
場当たり的に紛争地域に自衛隊を送り出すよりも、
カウンターテロリズムとしての国際的な貢献に
なり得たかもしれない。
日本は地政学的に外敵の侵略を免れてきたので、
一致団結し戦略を吟味して外部に抗するよりも、
内部にスケープゴートを設定してそれを過度に
攻撃することで組織の結束を図る傾向がある。
今回の惨敗も、ジーコを責め立てるのではなく、
彼のどこが間違っていたのかを冷静にかつ正確に
把握すべきだと思う」。
これを読んで、過去ログの「変態がいっぱい」
に自転車さんがくれたコメントを思い出した。
「ほいじゃから、何か事件が起きて
犯人が明らかになったなら、
何がその人間をそんな風にさせてしまったのか
何でそんな人間に育ってしまったのかを
徹底的に調べてもらいたいと思っているのですが、
そうなってないんですよね〜」
なってないですよね〜。
少なくとも、報道されてないですよね。
こういうのもあります。
子どもを犯罪から守る! 小宮信夫氏(日経BP社サイト2005.7)
「“犯罪原因論”から“犯罪機会論”へ」
という考え方。
なるほど、未然に防ぐという考え方か。
犯罪に巻き込まれないように、
ひとりで遊ばないとか、
知らない人についていかないとか、
テレクラとかに電話しないとか、
それがどうしていけないのか
教える、という考え方か。
ふむ。
自衛、だな。
被害者にならないための。
では、犯罪者を育てないためには?
やっぱりどうしてそんな子になってしまったのか
知りたい。
同級生をカッターで切りつけたり、
ちっちゃな子を屋上から突き落としたり、
家に火をつけたり、
どの子も、普通の、いい子だった、と。
うちの、普通の、いい子と
どう違うのだろう。
親の暴力が、とか、祖母の死が、とか
あまりに推測で分かった風に報道されて
それでおしまいになっている気がしてならない。
せめて自分の息子が、
被害者にも加害者にもならないために
ちゃんと知りたい。
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