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2007年2月 2日 (金)

中四国子連れ450Kmの旅(5)


うちの車にカーナビはついていない。
「スーパーマップル四国道路地図」を頼りに
助手席がナビをする。
動く車内で細かい字を見ると酔うオットがドライバ−。
案外地図が読めるわたしがナビ。
「はい次の信号国道32号に向けて右折!」
宿に急ぐ車内はさながらパリダカである。

国道とはいえ細い2車線の道、目印もほとんどない。
くらい灯りがときどきともる、しらない所を通り過ぎる。
高速のI.C.や小さな街を抜け、いよいよ真っ暗になってきた。
地図が見えないのでケータイの明かりで手元を見る。

歩き疲れた(とはいえ自分ではほとんど歩いてないが)
息子は後部チャイルドシートで口ぱっくりあけて寝ている。
車に乗ったら、乗ったとたん寝てしまう。
そうやって体力を充電しているのであろう。
腹へったとぎゃあぎゃあ言うよりましである。

いよいよ山道、どうやら川沿いを走っている。
地図では、小歩危、大歩危付近。
このあたりは曲がりくねった清流が美しい景勝地らしい。
が、窓の外は真っ暗で何も見えない。

あった!宿の看板発見!左折!
あーよかったねえ、なんとか7時には着けそうじゃね、
などとほっとしたのは束の間であった。
そっからもんのすごいアップダウンの山道を
延々ゆくことになる。
「うわーーヘアピンカーブだーーー」
暗いし狭いし曲がるし上るし下るし
もう、どこをどう走ってるんだかよく分からん。

「平家の人らってこのあたりに逃げて来たんでしょ?
 大変だったじゃろうねぇ」
などとのんきなことを言う。
追われて見つかったらオシマイなので、
そりゃあ平坦なところには逃げまいて。
暗いからよく見えないけど、たぶん片側は崖。
落ちたらひとたまりも無いと思われる。

スリリングなあまり「ひゃっほ〜〜〜!」
などと歓声を上げながらのドライブ。

それが30分ばかり続いたその先に、
お宿の明かりがぼんやり見えて来たのだった。
「つ、着いた・・・」

宿の人が二人、お迎えに出てくださり
荷物を持ち、車を停めてくれた。
フロントには樽酒と大きな生け花、
お正月の華やぎがうれしく、ほっとしたのだった。

部屋についてすぐ、食事に向かう。
囲炉裏のそばに膳が用意されていて、
炭火には鮎や田楽が焼かれている。
寝ぼけ眼の息子も「まんまたべる〜〜〜」
先付け、あめご(アマゴ)の刺身、山菜の天ぷら、
「このあたりのお雑煮です」と出されたのは
お味噌汁にでっかい芋と丸餅のお雑煮だった。
この芋は・・・?里芋??
大人の握りこぶしくらいの芋を四つ一に切ってある。
後から知ったのだが、京都辺りではでっかい里芋
(海老芋)を丸のまんま入れる地域があるそうだ。
都の味を懐かしみ、地元の食文化と混じり合って
こういう雑煮になったのかなあ・・・
などと古の昔に思いを馳せてみる。
あとは、もんのすごい固いとうふや、そば粉で作った団子、
粟飯、蕎麦アイスなど、おもしろいものがいろいろ出された。
しかし、囲炉裏の火というのは心落ち着くものですな。
じんわりあったまるし、燻香もいい。

Photo_24


おいしいものをたらふくいただいた後は、そう
「おんしぇ〜〜ん!!」である。

さっそく部屋に戻り浴衣をひっかけて風呂に向かう。

ここの名物はなんといっても
「ゴンドラに乗っていく露天風呂」。
ちっちゃい箱のようなゴンドラに乗って、
「運転」ボタンを押すと、じりじりじり・・・とベルが鳴り、
ごとん、ごわんごわんごわんと動き出す。
2分ほどで数十メートル上に到着。
そこには湯上がり休憩所の茅葺きの小屋があり、
中の囲炉裏では常に火がくすぶっている。
かこーーーーん、獅子脅しが風流である。
小径を抜けてゆくと、男湯露天風呂、女湯露天風呂があり、
その先に混浴露天風呂があった。

そーーーっと混浴露天風呂を覗くと、誰もいない。
「・・・入る?」
いやった〜!家族みんなで入れるぞ〜!
脱衣所は板で囲ってあり、かごに浴衣を脱いでいれる。
しかーし!足下のマットが濡れて今にも凍りそうで
足が冷たい!ぎゃ〜〜〜〜言いながら脱ぐ。
息子もぎゃ〜〜〜というのをむりやり剥いですっぽんぽんにする。
その勢いで、ざぶん、とつかった湯は極楽・・・・

ああ、いい湯だあ〜・・・・

囲炉裏でいぶされた茅葺き小屋をそのまま持って来たような
味のある屋根。
大きな岩が組み合わされた間から、お湯がほとばしっている。
露天なのでお湯も熱すぎず、ちょびも長湯できる。
「みてよ、かーちゃん、ザバーーーーー」
人の気配もなく、貸し切りである。
いつもはちょびはパパちゃんと一緒に入る。
わたしは一人でゆっくり、なんだけど、ちょっとさみしい。
「みんなで入れて、いいね〜」

辺りは漆黒の闇。明るかったら景色もいいんだろう。
「明日朝、また来てみようね」

ぽっかぽかの体でまたゴンドラにのって帰る。

と、上がって来たゴンドラに若いカップルが3組。

オットがぼんやり見送っているので、どしたの?
と聞いたら
「いや、みんなで混浴なのかなーと」
んなわけないだろ、と思いつつ、そうだったりしたら
やっぱり他の彼女とかチラ見したりするんだろうか
もしかして、
などとおっさんのような会話で盛り上がりつつ
あったかいお布団で今日が終わった。

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