祖谷、かずら橋を後にして出発。
パトカーのミニカーをゲットした息子は上機嫌で
カーステレオの音楽に合わせてでたらめ歌詞を歌う歌う。
つられて親も歌う。大合唱。
なんだか天気も良くていい感じである。
きょうは道後で一泊の予定。それまで特に予定なし。
高速に乗って道後まで一気に行きますか、
と話しつつ向かうが直後、
「あっ!!止まって!!」「なに!?」
『秘境祖谷・平家屋敷』という看板が目にとまったのだった。
「行ってみん!?」「え〜〜〜〜」
「歴史ロマンよ!平家よ平家!」
渋るオットを尻目に嫁はウキウキと車から降りてゆく。
さっきまで歌っていた息子はちょっと目を離した隙に爆睡。
13Kgを抱えていくこととなる。
さて、その屋敷、なんでも平家の落人が当時住んでいた屋敷を
そのまま末裔が保存して展示しているのだとかで、
数えて20代目の当主が隣接の家に住んでいるらしい。
入場料500エン。ご先祖様のおかげの観光収入。
そのご先祖様、堀川内記という人で、安徳帝の御典医として
治承〜養和〜寿永の項まで宮中に仕えたが、平家の都落ちの折、
安徳帝を供奉して屋島に逃げのび、平家滅亡の後、残党と共に
祖谷に入山したのだとか。
その時の屋敷が、いまもほぼその当時の姿で残っている。
古い、といえば古いけど、
なんだか立派な茅葺きの屋敷だなあという感じ。
中には民具や農具、大正、昭和など近年の紙幣、教科書、
古文書などが展示されていた。
平家の揚羽紋の幟なんかもあったけど、
平家の落ち武者がやってきた時代からここに、って
さかのぼって想像するとくらくらする。
農具の中に「製茶のほいろ」があった。製茶!?
なんでもここ祖谷はかつて茶の栽培が盛んで、
ここの茶の実を持って行って栽培したのが静岡なんだそうだ。
静岡茶のルーツがこんなところにあったのね。
そういえば、切り立った崖の中腹に、ちょこちょこ
今でも茶畑が残っている。
縁側で、爆睡する息子をだっこして猫とひなたぼっこ。
立派な樹だ、と思ったら樹齢800年だって。
800年か〜。
この樹は、平家の落人が逃げ延びてやってきたのを
この目(?)で見ていたのだ。すごい・・・
諸行無常を、じーっと眺めてきたのだろう。
その時間の一瞬、こうして交差する旅人。不思議なご縁だ。
さて帰ろうか、というとき、息子がむにゃむにゃ目を覚まし
「・・・・ぱとかーない・・・」
えーーーっ!?手に持ってたの??
持ったまま寝て、そのまま抱っこして・・・
来た道をくまなく探す。何度も受付の人にすいませんと言い
再入場して足下を舐めるように探す。
ないよ・・・どっかいっちゃったねえ。
「いやだーーー!!!」
だって、ないんだもん・・
「いやなのーーーっ!!うえ〜〜〜〜」
泣き叫ぶ息子をなだめたりすかしたりしていると、
「あったーーーー!!」
「ええーーーっ!!」
パパちゃんが這いつくばって側溝のフタを持ち上げている。
隙間から落ちたんだ。
よかったねえパトカー。
息子は帰ってきたパトカーをなでなでしてちゅうしている。
やれやれ。出発です・・・
来た時は真っ暗でよく見えなかったが、
ここらへんの道はほんとにすごい。
断崖に張り付いた道を上がったり下がったり。
びっくりするような急斜面にぽつん、と家が建ってたり
目もくらむような崖っぷちに建物が建ってたりする。
しばらく行くと「大歩危(おおぼけ)」遊覧船乗り場に到着。
車を止めて川を覗くと
「ひょ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・」
ものすごい切り立った渓谷の底に、エメラルドブルーの川が流れてる。
三段峡の黒淵あたりを100倍スケールにした感じ?
あまりの高さにくらくらして現実感がないが
見下ろす船着き場の人々がゴマ粒くらいなのを見れば
どんだけ高いのかわかる。
新緑の頃とか、紅葉のころとか、むちゃくちゃ綺麗だろうな。
観光船下りでは雄大な大自然が満喫できます、ということだが
うちのちっちゃいのがぽちゃんと落ちたりしてもアレなので、
(って想像するだけでちびりそう、ひょ〜〜〜)
絶壁を見下ろしてひょうひょう言うだけ言って出発。
松山自動車道に向け車を走らせる。
高速入り口はすぐにあったが、
せっかく知らないところに来たんだから
知らない道を走りたいね、
ということで一般道で愛媛県入り。
海辺の道を走って行くが、案外工場地帯で
でっかい煙突から煙がもくもく。
「ああ〜っ、くもよ〜くも〜、ばいばい〜〜」
そろそろお腹もすいてきた。
高速に乗ってどこかSAにでも入ろうか、
と いよ西条I.C.から高速に乗る。
と、同時に記憶がなくなる。
オットよ、助手席で爆睡、すいません。
「ついたよ」
そこは石鎚山SA。なんだかただのSAじゃないぞ、
「石鎚山ハイウェイオアシス」だって。
まずは腹ごしらえから。
やっぱり爆睡していた息子を引きずりおろすと超不機嫌。
「いやにゃ〜〜〜くるまでねんね〜〜〜」
「まんま食べるんよ、ね?」「いやにゃ〜〜〜〜」
暴れる息子をがっちりだっこして連れて入ったものの
激しく泣き叫ぶ。寝起きが悪いのは誰に似たのか。
しかたなくオットがそこにあったりすのぬいぐるみを手にとり
『チョビクン、オハヨ、イッショニマンマタベヨウ?』
「・・・・うん。たべりゅ。」
あら、ご機嫌なおってよかったねえ、と行こうとすると
「あ、だめ!いっしょににいくのっ!!」
「・・・ええ〜〜〜!?」
りすさんはここの人だから一緒に行けないと説得するもむなしく、
「・・・じゃあ、つれていってもいいようにしてもらうから」
とレジに向かう。
値札はついてなかったが、ちっちゃいし、
隣のネコは450エンだったのでそんなもんだと思ったら
「850エンでございます」
!!
「ねえちょび、にゃんこちゃんが一緒に行こうって」
「いや!りすさん!」
「あ、このくまちゃんが」
「り す さん!」
ということで旅のメンバーに加わったりすさん。
「ちょっとしたランチが食べられる値段だよね」
親はブツブツ不満を述べつつラーメンをすする。
息子は上機嫌でりすさんにうどんを食べさせている。
外の屋台で揚げドーナツ買って食べ、
いよいよ「石鎚山ハイウェイオアシス」へ。
そこは高速道路を利用しない人も入れる施設で
温泉なんかもあるらしい。
ぐるーっと連絡道路を移動すると、でっかい公園だ。
さっそく車を停めて遊びに飛び出す。
ちびっ子たちで賑わうジャングルジムに
ちょびも参戦。
すんごい滑り台にパパちゃんと一緒に挑戦。
「かーちゃんもして〜」
年甲斐もなく滑り台へ。これがけっこう楽しい。
そこから歩いて施設に向かう。
立ち寄り湯や足湯もあったが、これから道後に向かうのでパス。
施設内にはでっかい滝があったり、
「石鎚山の四季が体感できる」パビリオンなどもあった
が、入場料500エンだったのでパス。
お土産物屋をひやかしつつ、一銭も落とさずに施設を後にする。
さあ、いよいよ道後へ向けて出発。
「今夜はまたまたおっきいぼちゃぼちゃだよ〜〜〜」
「わ〜い!」
寄り道だらけのえんやら旅、もうちょっと続く。
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