ささくれ
しあわせはいつも、退屈とワンセットだ。
心がざらざらしてる。
別になにがあったというわけじゃない。
自分の中に、
全部捨ててしまいたいという衝動がある
気付かないふりしている
でも、
ゼロになった自分の哀しさを思うと
身震いするほど憧れる気持ちがある。
どこにいこうとしているのか
わからない
なにもかも持っているのに
まだ欲しいのか
わからない
出張で和歌山に行った。
その夜は、おねえちゃんのいるスナックに連れて行かれ
カラオケで「北の宿から」なぞ歌ったりしてた。
味のしない焼酎の水割りで体が冷えきった。
店を出た真夜中過ぎ、ひと気のない知らない街で
このままどこかに行ってしまいたいと思った。
どこで、なにをして暮らすのだろう。
誰もわたしのことを知らない街で。
ケータイが鳴る。
眠れない息子が涙声で
「・・・かーちゃんはやくかえってきて・・・」
という。
なんでこんなところにいるんだろう。
ぎゅっと、しなくちゃいけないのに、届かない。
朗らかに励まして、おやすみと言って切る。
わたしはどこにも行けない。
どこにも
広島に帰ってきた。
息子をぎゅーっとした。
日常が戻った。
どこにも行けず戻ってきた。
これがしあわせ
しあわせのど真ん中だ。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント