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2007年10月20日 (土)

しあわせ

よく晴れた。
そうだ、墓参り行こう。

いや、たまたま墓近所のスーパーに用事があったのだ。
そのままスーパーに車を置いて、水を1本買って歩いていく。

稲刈りが済んだ田にいい風が渡る。

別に盆でも正月でもないけどさ、
たまに、おばあちゃんのこと思い出したときとか
おばあちゃんの夢を見た時に、お墓に会いにいくんだ。

坂道を上り、階段をたくさん上って丘の上の墓に着く。

遠目に、墓所に似合わない鮮やかな色が
墓の足下に散らかってるのが見える。

???

近寄ってみると、風でなぎ倒された造花だった。

墓に造花なんか、母は大嫌いなんだけど
この墓を守してるのは、足の悪い叔母なので
さいさい来られないから、花が枯れたら困るのだ。

それを知ってるから、花は買わない。
散らかった造花の砂を払って、まとめて飾りなおして
枯れ葉を掃いて、持ってきた水をそなえた。
菊、あじさい、バラ、
嘘くさい色が鮮やかでとりどりであるほど、さみしい。

おばあちゃん、きたよー。

ようきたようきた、という声がする。

お母さんも元気だよ。お父さんも、だいぶんよくなった。
ちょびも元気に保育園行ってる。
ダンナもわたしも、元気だよ。
ほんとにね、わたし、しあわせです。
だからね、みんなが元気でいられるように
見守っとってねー。

だいぶん落ち着いた息をついて、水を飲む。
いい天気だー。


それじゃ、また来るね。
さよなら、と言って、それっきりになるのがいやだったから、
おばあちゃんちから帰るとき、絶対「またね」と言っていた。
今は、それを父に言ってる。

また来いよ、来てくれよ、
おばあちゃんの声が聞こえる。

聞こえない声を聞いたり、何もない石に手を合わせたり、
それは
自分の心を見に行くことなのかもしれない。

金曜、保育園お弁当の日。
朝早く早起きして、甘い卵焼きとか、ちっちゃいハンバーグとか
がんばってかーちゃんつくったよ。
パパちゃんの分もつくったよ。

家に帰ったら、リュックを空けて、
「みてみてかーちゃん、ぴかぴかよ!」
と、空になったおべんと箱見せてくれた。

「つくってありがと」

あー
おべんと食べた人より、しあわせだー
ああーありがとう。

しあわせだー。

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コメント

しあわせですね。

子供が、
自分の、作った、料理を、
おいしそうに、いっしょうけんめい、
食べてくれる。

こんなしあわせなことがありますかい。

おっぱいも。含ませながら、
「あー生きててよかった!!」とよく思ったもんだったけど。

“お母さん”大変だけど、毎日葛藤だけど、
なんて幸せな職業であろうか。

投稿: Uka | 2007年10月31日 (水) 午後 04時16分

墓参りから帰る時『またね』といって墓石さすり、
実家訪ねて帰る時『またね』といって母の手を
ぎゅっと握ります。
この言葉にはいろんな気持ちがつまってますな。

つーか、ちょびくんかわいい!
大きく育て、内弁慶

投稿: tag | 2007年11月 3日 (土) 午前 04時14分

Uka殿
おっぱいね!思ったね、「生きててよかった!」
日々のご飯もね。ほんとに毎度毎度、幸せなんだよね。うっかり、見過ごしてるのがもったいないね。
ほんと、えー仕事ですかーさんは。

tag氏
母の手を!
えー子やえー子や。やさしい子じゃ。
うちの息子もtag氏のようにやさしい子になって
将来ハハの手をぎゅーしてくれたら・・・と想像にひたりました。
内弁慶、わはは。もう、超・内剛外柔ですから。
ハハはたまりません。

投稿: はなみ | 2007年11月 7日 (水) 午前 01時47分

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