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2008年5月21日 (水)

大阪、博多


大阪のおじさん、あと2ヶ月だろうと聞いたのはついこないだだった。
こんなに早いとは誰も思わなかった。
膵臓がん。69歳だった。

飲み会の予定などをキャンセルし、
送らなくてはいけない原稿を光速で仕上げて
15日午後3時の新幹線に飛び乗った。
参列できない父と兄の名代として、母と息子を連れて行った。

新大阪から淀屋橋、そっから枚方市まで。地下鉄と電車を乗り継ぐ。
荷物増えるのも嫌だったので、喪服にヒールのある靴にパールのネックレスで行った。
よく晴れた明るい午後に、喪の出で立ちは似合わない。

式場につくと、広島から親戚がもう何人か駆けつけていた。
おじさんを拝見する。
おだやかな
この世にもうなんの未練もない
美しい美しい死に顔だった。

わたしと同い年のいとこが喪主だった。
「10年早いよね、喪主なんて」

おじさんは楽しい人でいつも笑わせてくれてた。
退職してからは旅行三昧で、
入退院を繰り返すようになっても、それでも次の旅行の計画を立ててたらしい。
いよいよ動けなくなったら
「ほな、さいなら」とさっさといってしまった。
おじさんらしい最後だ。
死に様は生き様だと、おばあちゃんがよく言っていた。

4さいの息子は初めて死んだ人を見る。
すすり泣く人たちを見て神妙な顔になり
「・・・だれにうたれたん?」
といろんな大人に聞いていた。

百合の花と線香の香りにむせながら通夜が終わる。

式場の二階で通夜ぶるまい。
みんなでおじさんの思い出話。笑って、またしんみりして。
息子は年の近いいとこたちと全力で遊ぶ。

夜も更けて、駅前のホテルで一泊。

翌朝、お葬式。
読経、焼香、そしてさいごのおわかれ。
お棺の中に白い花をいれる。
泣かなかった喪主も、
「・・・もっとお酒が飲めたらよかったのになぁ」と泣いていた。
つい先日、東京であった従弟の結婚式の写真も添えられていた。
どんなに泣いても、話しかけても思いは尽きない。
お別れはつらい。

会場を移動し、しばらく待合室で待つ。
「もうパスポートいらんから、いまごろ世界中とびまわってはるわ」
「四十九日世界一周旅行堪能したら、次は天国や」

呼び出しがかかり、階下へ。

あんなに号泣した別れがうそのように
そこにあるのがさっきまでのあの人だなんて
誰も信じられないという顔で
しーんと静まり返っていた。
ちりちり、ぱりぱりという骨の音だけがする。

小さい骨壺を抱えるいとこ。
「・・・あっけないもんやなぁ」

精進落としをいただいて、三々五々解散。

週末夕方の駅はとんでもなく混んでいて、
疲れた息子は眠っちまって
でっかい荷物に息子をだっこして
がつがつ歩いて腰を痛めた。もう無理がききません・・・


翌日は朝9時横川駅。
西条酒蔵見学ツアーに参加するためだ。

本来のミッションは午後の「サイエンスカフェ」の手伝いなんだけど、この際ちゃんと見学したことがなかった“醸華街・西条”を見ておきたかった。

JR西条駅前の観光案内所でガイドさんと会い、出発。
今だ使われている唯一の煙突、とか
歴史的背景とか、名水についてとか、いろんな話を聞きながら見学。
ひょいひょいと敷地内に入っていろいろ見せてくださるので、個人で見て回るより楽しい。
蔵はどこも造りを終えて、のんびりのどかな空気が流れている。

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賀茂泉のショップで。
なかなかレトロなお銚子発見。猪口とともに連れて帰る。
一升瓶ストラップなど収穫多し。試飲も極楽。JRで来たもんね。万歳。

見学後は、賀茂鶴さん横のレストラン「佛蘭西屋」にて「美酒鍋(びしょなべ)御膳」。

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冬に蔵人さんたちがまかないでつくって食べていた、いわばちゃんこのような料理で、鶏キモ鶏肉、塩胡椒がきいたさっぱりした鍋だった。
他のお料理も美味しくて、デザートもついて1500エン。満足。御馳走様でした。

さていよいよ本題の「サイエンスカフェ」手伝いに向かう。
場所は賀茂輝酒造。円座(わろうだ)という雑貨カフェの横のガレージがイベントスペースになっている。
サイエンスカフェとは、広島大学大学院理学研究科が主催、もっと科学を身近なものに感じて楽しんでもらいたいという有志が始めたイベント。今回で3回目となる。

今回のテーマは「ドレミの科学〜音楽と物理学とのちょっと意外で濃密な関係〜」
ゲストは小方厚さん(前広大教授、現大阪大学産業科学研究所特任教授)。ビブラフォンで、広大ジャズ研と生セッションも披露される。

手弁当の会で、みんなボランティア参加なんだけど、天気もいいしワクワクしながら会場設営をしている。なにか楽しそうなことがはじまりそうな予感に満ちている場所というのはいいものだ。

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セッションのリハーサル。
気持ちがよい風が吹き抜けて、生演奏を独り占め。たまらなく贅沢。

うれしいことに、当日の飛び込みも含めて60人を超す参加者で賑わった。
併設のカフェでは、円座のカフェメニューが提供され、ここの冷やし甘酒がものすごく美味だった。赤ワイン用のバルーングラスにでっかい氷とともに注がれ、青柚子をごしごしっとおろしてくださる。爽やか!最高。

さてはじまったサイエンスカフェ。ドレミってピタゴラスが最初に決めたんだって。弦楽器の弦の長さと音階の関係や、音は波=周波数ということで、見事に数式で説明がついてゆく(理解はついてゆけないが)。
しかも、ピタゴラス音階は聞いて心地よい音の調和を基につくられてるけど、転調とか難しいので、平均律音階が生まれ・・・(・・・ちょっと難しい)
知らなかったなー。ドレミも科学だったとは。
楽器を演奏する方々にとっては当たり前の知識らしく、その知識をふまえてのサイエンスがとてもおもしろく響いていたらしい。知識を愉しむには下地の知識が必要なのであった。


さて時間となり、そっと会場を後にする。

JR西条駅からタクシーで東広島駅へ。こだまで広島駅へ。
のぞみに乗り換え博多到着。
博多の友人に出迎えてもらってホテルにチェックイン。
天神まで「100エンバス」で行く。今まで地下鉄でしか行ったことがないので新鮮。親富孝通りの店の前まで案内してくれた。サンキュー!

なにしに博多に来たかと言うと、飲み会に参加するためだ。
コピーライター養成講座総合コースの開校式に来福されたCD/コピーライターのPOOL小西利行氏を囲んで盛り上がるようにという密命が、今はなき(東京行っちゃった)T橋氏によって発せられ、上級コース面々にお声がかかったのだった。
懐かしい顔と知らない顔が入り交じりつつ、宴もたけなわでみんなだいぶんでき上がっていた。
二次会はボトムライン。どんどん知らない人がやってくる。知ってる人も増えてゆく。

しかし小西さんはすごい。
この場にいる全員楽しんでるか気になる方で、とにかく楽しい飲み会となる。しかもテーブルの水滴をおしぼりで拭いたりしつつ実に細やかなムチャ振りを右に左にされていて、
もう、妄想合戦、妄想祭り、どんだけおもしろいこと言うか勝負みたいなことになっていて、酔っぱらいながら頭フル回転でついてった。こんだけの馬力でいつもコピーかいたらいいのに。ずーっとげらげら笑っていた。
ラーメン食いそびれて沖縄及びジャマイカテイストの店で餃子食べる(うまかった)。
もう3時です。
これからどんなことしたいんすか?と伺うと、
やっぱコミュニケーションの領域でもっと影響力持ちたいよね、それはやっぱ言葉だよね、みたいなことを話されていた。
言葉の力を信じる。小西さんが言うなら信じられるとぼんやりした頭で思った。

たまきちゃんに送ってもらってホテル帰着(ありがとう!)。
楽しかったなあ。

・ ・・・なんでわたしわざわざ博多まできて飲んでんの?
広島でこんだけいろんな人が入り乱れて飲み会する場に参加したことない。
(あ、かつての会社では毎年創立記念パーティーやってたな。朝から深夜までいろんな人が手みやげとともに出入りしてものすごいダラダラな飲み会だった。カジノやったり、バドガール呼んだり。下っ端のわたしは準備とホステスで死にそうでアホかと思ってたけど、考えてみればものすごい財産だった。いろんな人と酒飲んで話すのは。そういう経験が今のわたしをつくってる土台にあるのは否めない)
少人数でしっぽり飲んだら、ダークやブラックな話になって体に悪い。
ばかみたいに楽しいけど、アホみたいに素晴らしい飲み会したいなあ。

全部飲み会から生まれるような気がする。それは錯覚だけど。
基本的に、こころをひらいて大笑いしないと、出てこない気がする。

楽しかったけど、一人広島に帰るのはさみしいな。
博多に行って飲むのもいいけど、ホームベースをなんとかしないと。
などと思いながら就寝。直後起床。

いい天気の博多をMOMちゃんと娘ちゃんとドライブデート。
まずは大丸デパ地下&催事場でおみやげを嵐のように買ってくれた。
フジバンビの黒糖ドーナツ棒、さかえ屋のなんばん往来、博多とおりもん、薩摩名物春駒・・・
さすが美味いもんよく知ってらっしゃる!ありがとう〜。
で、天神のひょうたん寿司へ。オープン前から行列だー。
どどどと入場し、知り合いの板さんの前カウンターに座る。
さー寿司くうぞー。おお、これは・・・すまんオットよすまん息子よ。かーちゃんはこんなに美味い寿司を一人で食ってるぞ。相当美味いぞ。なんだよこの穴子!!ふあっふあじゃないか〜〜〜。こっそりアップグレードしてくれたらしい穴子は最高でした。特に巻もの・・
いやー、これで3人腹一杯食って持ち帰りひと折たのんで5000円は涙ものだ。

そこから川端の櫛田神社にお参りに行き、商店街で豆乳アイスを食べて、海際のマリノアへ。正月に一家で行ったアウトレットモール。安いのでつい爆買いしたのだった。オットと息子への罪滅ぼしにTシャツを購入。そして博多駅へ。

博多の休日を満喫しました。ありがとうMOMちゃん娘ちゃん。


広島駅には、休みだったオットと息子が迎えにきてくれていた。
公園でやきゅうしてた息子は泥だらけだったけどぎゅーってした。

広島はやっぱりわたしの家があるとこだ。
3人の暮らす家に帰る。帰るところがあるから旅に出られるのよね。

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