« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月19日 (木)

力をもつもの

いつもこのブログに遊びにきてくださるみなさま、こんにちは。

今日は、ちょっと読んでほしいブログ記事があったのでご紹介します。
お時間があったら、読んでみてください。

吉村峰子のアフリカに遊びにおいでよ!
3/16付「七生養護学校で起きたこと」
http://www.cafeblo.com/safrica/archive-20090316.html


わたしも、この件に関してはほとんど知りませんでした。
関心がないからスルーしていたのでしょう。

でも、冒頭の5つの新聞社の社説を読み比べて改めてぞっとしました。


どう感じるか、考えるかは各自のことですが、
わたしはこれを読んで、わたしの知っている人たちにも読んでみてほしいと思いました。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年3月18日 (水)

昼どき

横断歩道を、サイフだけ持った女子が3、4人渡っていく。
カーディガンの裾をひるがえして笑い合っている。

ああもうそんな時間か。

昼ご飯食べにいくこの時間が、一日のなかでいちばん幸せな時間だったなあ。

かつて勤め人だったころ、そう女子が多い職場でもなく、
こうして連れ立ってウキウキ行く感じでもなかったけど。
ああ思いだした、女子ばっかりの職場もかつてあって、そこでは弁当持参率が高く、みんなで大テーブルを囲んで家族団らんのようなランチタイムだったっけ。
今でも誰かがお茶を入れ、食後にデザートを食べたりしてるのかな。


就職していちばん最初の会社は、女子はわたし一人だった。
昼時、社長以下おじさんたち(といっても今思い返せばわたしより年下だ!)は連れ立ってランチに向かう。
なんだかおじさんとメシ食うのもバツが悪いし、その近辺のランチは一食800円はするしで、薄給女子としては弁当をもってきて誰もいなくなった事務所でぼそぼそと一人で食べていた。

しかしだんだん朝弁当が間に合わなくなり、おじさんランチに合流するようになる。

最初はしぶしぶだったが、実はそここそが一日のうちで最も勉強になる時間だった。

おじさんたちの会話は、仕事の話とかうわさ話、あんなことがあったこういう人がいた、大事な話もくだらないこともごちゃまぜで、だけどそこで話をするからみんななんとなくお互いの塩梅が察せられ、ことさら朝礼やミーティングをしなくてもうまくいっていたのだった。

それにおじさんたちは妻や子がいるのによく遊んでいて、どこそこに何を見に行った、誰に会いにいったと楽しそうに話す。
はなみちゃんは日曜どこ行ったの?と聞かれても
えーと、とくにどことは・・・買い物とか・・・
なんだ若いのにもっと遊ばなきゃあ、彼氏とかいないのーと
はいいないんですーという冴えない時期でもあったが、ああわたしってつまんない、と思ったのだった。
もっと遊ばなきゃ遊ばなきゃ、なにして遊ぼう、誰と遊ぼう、


今思えば、ぼーっとしててよかったのだ。
自分がどっちむいてるかわからず、誰かのためにすることもなく、
そんなぽっかりとした時間はそれはそれでいいのだ。
ヤシの実の中の、あの青臭い水の中に、浮かんだり沈んだりしてるような
そんな20歳そこそこでよかったんだ。

それでいいんだと思えない時間ほどつまらないものはない。


あれはおじさんたちの嫉妬だった。
親切なアドバイスに見せかけて、ちょっと意地悪な気持ちになっていたのだ。
無為なものがそのままで、いいわけがない許されるわけがないと。


この年になって、おじさんたちの気持ちがわかる。
無理していろんなものを見たりいろんな人に会ったり、
そうやって現状を打破する方法も気分もわかっている。
だけど、人生にはリズムがあることもわかっている。

今はどういう波がよせているか。

横断歩道を笑いながら横切る女子たちの後ろ姿を見ながら、ハンドルを切る。
春めいてきたなあ。青空にミルクを流したような空だ。

これでいいのだ。わたしは今のわたしを許そうと思った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

特効薬

帰宅するとポストにたくさんのDMだのチラシだのが詰まっている。
両手一杯の荷物をぎりぎり手首に食い込ませながらポストの中身をとりだして、エレベーターに乗り帰宅する。
「なにー?なに入ってたー?」
息子はこういう印刷物が好物で、特にカード状のものをコレクションしている。
彼の宝箱の中には、使用済みの駐車券とか、どこかのショップカードとか、そういうものがわさーっと溜まっている。
今日の郵便物の中に黒猫からの不在通知があった。
あー、サンプル取り寄せたのが届いたんだ、明日の打ち合わせに使うから午前中に再配達を頼まなくてはなどと考えながら荷物をおろし、買ってきたものを冷蔵庫に入れていると、息子がめざとくその伝票を見つけた。
「これちょうだーい」
そりはだめ。お仕事の大事だから、と取り上げる。
「ええええ〜〜〜〜」

ほらここ、黒猫さんからだって目が不自由な人でもすぐに分かるようににゃんこの耳みたいに切り込みが入ってるんだよと教えてから、この伝票は息子のコレクションに収蔵されるようになった。
しかしこれはまだ連絡してないからだめ。




食事の支度、オットが帰宅、みんなでご飯、仕事のメールを3本、食後のデザート、息子とバトスピ(カードゲーム)2試合、さーお風呂入ろう、というところであ!明日の再配達を頼まなくてはと伝票を探すが、ない。

あれ、ない。
どこいった?
手に持ってて・・・
かばんの中、テーブルの上、コートのポッケ、ない。
お風呂の息子に
「ねえ、黒猫の伝票知らない?」と聞いても「しらなーい」。
オットも、どうしたんだろうねぇとうろうろ探してくれる。
さんざん探して見つからず、しょうがない、明日事情を説明して荷物を持ってきてもらうことにする。
風呂から上がり、鏡の前にすわってぺたぺたやってると、ふと、ゴミ箱にくしゃくしゃの黄色い紙が。

あ!!!!!あった!!!んもう、自分のバカ!!!

・・・あったよ、ごめーん、と二人に謝る。

無意識に、くしゃくしゃにして捨てたんだ。


「あーあ、かーちゃんばかだね」とため息をつくと、

「かーちゃん、ばかじゃないよ」。

え?

「かーちゃんは・・・・かわいいよ」。


これで、今日いちにちが幸せももいろ100%になりました。

悔しかったことも、言えなかったことも、
もう、空に放して、おやすみなさい。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年3月 4日 (水)

生クリーム天国


ふわふわと繭の中にいるような日が続いた。
暖かいのか寒いのかよくわからない。
とにかく眠くて、食事のとき以外ずっと眠り続けた日もあった。

でも、食べたいものは次々に思い浮かぶので、そのために食材を買いにゆき、手間を惜しまずつくることに熱中した。
ぴかぴかの天然ブリのあらで、ブリ大根。
柚子をてんこもりにした煮豚。
はなっこりーの青菜炒め。
牛筋カレー。
吟醸酒粕で、甘酒。
豆ご飯。
根菜だらけの豚汁。
レタス炒飯。
ブリカマの塩焼き。
手羽元の梅酒煮。
こんにゃくと大根をお肉で甘辛く炊いたの。
美味しく味わう時だけ生きている気がした。

そして、とっておきの贅沢を決行することにした。
「生クリーム天国」である。
純生クリームを大きいボールにあけ、氷水をあてて泡立てる。三温糖を適当に入れ、ツノが立つまでしっかりと泡立てる。
それを附属の絞り袋に入れれば準備完了だ。

あまおうを洗い、ヘタをとって半分くらいに切って皿に盛る。
そして食パン。
アンデルセンの、長時間発酵ブレッドが最高。焼きたては側が固くて中ふわふわ。
半分にちぎり、ホイップしたクリームを絞り出しのせる。
思いっきり。てんこもり。これでもかと。
真っ白なくるくるの上に、いちごをすきなだけ埋める。
そして、かぶりつくのだ。
ホイップクリームの淡くはかない口溶けを追いかけるように、どんどん絞り足して食いつく。はむっと、溺れるように。
悩みも、心配も、不安も、怒りも、ぜんぶ真っ白くなる。
ボールに残ったクリームを残りのパンでこそげて、天国は終わる。




そうやって甘やかした晩に見た夢。

各地に温泉泥棒が出没している。それは白髪を腰までのばしたおじいさんで、温泉につかるだけ浸かって入湯料を払わず逃げるのだ。
のれんをかき分けて凄い勢いで飛び出してきたじいさん泥棒。
春の日に透けて輝く白髪をたなびかせ、手桶に石けん箱をならしながら、腰にタオル一丁で走り抜けていった。



おとうさんはちっとも夢にでてこない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »