« おこしやす納骨【1】 | トップページ | おこしやす納骨【3】 »

2009年5月 7日 (木)

おこしやす納骨【2】

【京都1日目、女子の買い物】

寺町通り入り口の老舗のお菓子屋さんでお菓子を買い、ぶらぶら歩いていくと、まぶしいような竹の子を山積みで売ってる店があった。塚原の朝堀りということで、一山2万円などという札が。切り口は真っ白く輝いている。
「あーっこないだテレビで見た店よ!」
名取裕子さんが向いの店で食べてたわ、ということで、昼食は竹の子づくし。
えぐみのないやわらかい竹の子が、上品な味付けでいろんな料理になっていた。
いやーしょっぱなから贅沢しちゃったねぇと言うと、こういう時期にこういうお店に巡り会うこともめったにないし、いい記念になるわと母も嬉しそうだった。

Photo

食後、寺町通りを御所に向けて北上。
今回の旅、自分によくよく言い聞かせてきた。
お着物。お茶。骨董。茶道具。旨いもの。酒。スルーしろよと。
母と息子連れなので、それ本位に。

とはいえ、道を歩けば触覚がぴーんと反応するような素敵なお店が建ち並ぶ。
これが広島にあったら、どっかの雑誌が記事で褒めちぎるような店がごろごろしている。
このまえの戦は応仁の乱どすえという連綿とした時間が創り上げたものだもの。焼け野原からたった60年ちょっとしか経ってない街と比べるのもどうかと思う。

しかしやっぱり、あ、ちょっと待って、が連発。
まずは清課堂。錫や銀製品のお店だ。
うわーうわーきれいーすてきーうわーうわーと黙って見る。
母が、「なにか記念に買ってあげる」と言い出した。
じゃあじゃあじゃあ茶入れをと言いたいのを飲み込んで、菓子切りを。
袋の柄も母が見立ててくれた。大事に使います。
「奥にギャラリーもございますよ」と声をかけていただいたので見に行く。
町家づくりというのか、長ぼそーい路地を抜けると奥に茶室と蔵があり、そこがギャラリーになっていた。西川美穂さんという作家さんのハコが美しく並んでいた。

はーすてき。京都万歳。
その先に鳩居堂が。母は友人にかわいらしい絵の便せんを求めた。
ややっ、ここはなんでしょう骨董屋さん?
「もうっ!はやくっ!ホテルにいこうよぅ!おかいものはナシ!」
息子はぷんぷんしている。まあ待て。
そこへあらわれたのが一保堂。ちょっと休憩して行こうかと中へ。
嘉木という喫茶室でお薄と自分で入れるほうじ茶セットを頼む。
なぜか息子はあんこが嫌い。「えーあんこー?いらなーい」
しかし急須にポットから湯を注ぎ、20数えて出すのがやりたくてしょうがない。熱いからと心配するばあちゃんを振り切って、いそいそと急須を持ちじょろじょろと茶を入れてくれた。なかなか手つきがサマになってる。かーちゃんがいつもお茶をいれるのがうらやましかったのだそうだ。そうかそうか、美味い茶を入れる青年になっとくれ。

ついでにもう一軒。御所の南、裁判所の近くにうるわし屋という骨董屋さんがある。
漆器を中心とした品揃えのセンスがいいとなにかで見ていたのである。
母と息子は外で待ってると言う。
そーっと中に入り、すぐ出て、息子と母を中に呼び寄せる。
いい天気なのに風が強くてえらく肌寒かった。外で待たせるのもしのびなく、第一素敵すぎて時間がかかると踏んだからだ。
中にはちょっとした椅子があったので、息子を座らせてもよいかとオーナーらしき女性に尋ねると、どうぞと言って招き入れ、退屈そうな息子に、なにか描いたらと紙とボールペンをわたしてくれた。
その隙にかーちゃんは目をサーチライトのようにして見る見る。
食籠のようなものがあればと思ったが思うようなものがない。しかーし!ぴかーん!見つけてしまった美しい茶托を。花のような形の銀の茶托だ。ああ綺麗・・・
いつもなら文句のひとつも言う母が「きれいね、記念に買ったら」と言った。
記念に。
今日母は何度この言葉を言っただろう。記念に。忘れないように。
父とお別れし、母と息子と旅したこの日を忘れないように。
銀のものなら割れないし、一生残る。迷わず買った。
息子は「これ、さかなつり」と、豪快にサメを釣る絵をのびのび書いて待っていた。

|

« おこしやす納骨【1】 | トップページ | おこしやす納骨【3】 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: おこしやす納骨【2】:

« おこしやす納骨【1】 | トップページ | おこしやす納骨【3】 »