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2009年12月14日 (月)

斎藤和義ライブ@広島ALSOKホール09.12.14

10月から始まった斎藤和義ライブツアー「月が昇れば」。
本日は20カ所目、広島ALSOKホール(旧郵便貯金会館)。
先日3月の日本武道館、大阪厚生年金会館2daysを含む追加公演が発表になり、今回のツアーは3月末まで、全国43公演となった。デビュー以来史上最長最大。大丈夫なのだろうか。

昨日からメンバーは広島入りしているはずで、もう生活圏内に斎藤和義がいると思うと落ち着かない。

さて本日。午後息子を祖母に預け、自宅で開場を待つ。(徒歩5分ゆえ)
博多からご家族で神戸ルミナリエを見に行った帰りのMOMちゃんと合流。
開場を待つ列に並ぶ。久々の再会なので話に花が咲きつつ。

16:30開場。グッズに関して言えばCDジャケットのデザイナーにデザインをお願いしてほしいといつも思う。しかし売れてる。ツアーパンフのみ購入。

着席。5列目下手側スピーカー群の真ん前だ。近い、と思っていたがフラットなので案外舞台は遠い。客席案外年齢層が高い。ここはチューリップのコンサート会場か?しかも前方視野に入る男性が多い。

17:00開演。派手なライティングの中、ゆっくりとその人斎藤和義が登場。
最新アルバム「月が昇れば」1曲目「COME ON!」でスタート。いきなり会場総立ち。2階席まで満員、立ち見席も出たという。
そのまま「LOVE&PEACE」と続きアルバムの流れを踏襲。
それにしても前列にでかい男性2人。もう遮られてちらちらしか見えねぇ。

曲は続く。
なんだろうか。遠い。5列目なのに。まだこぶし振り上げるテンションがこない。

ん?ああっ!
最前列ど真ん中の男性、赤ちゃんだっこしてる!2、3さいか。背中のちいさい手がリズムにあわせてとんとんしててかわいい。となりのお母さんと交代でだっこして見てた。幼児の記憶に刷り込まれるせっちゃん。そして幼児を目前に歌うせっちゃん。どうなんだろう。近所には小学生らしき男の子の姿もあり。どうだギターやってみるか?

途中舞台セットででかいでかい満月が出た。わあ、と思いつつ、何かが違うと思った、というよりもまるで違う。月をまねて作っているけどあまりに海やクレーターの位置が違う。ティコクレーターから伸びる放射状の線もない。赤いライティングで陰影を浮き上がらせるためにクレーターのように凹凸をつけた塑像なんだと思うが、いつも見ているものと違うとなんかへんだ。まあせっちゃんがスターだから月はフェイクでいいのかなどとくだらないことを考えながら見る。

懐かしい曲もあり、恒例のエロトークもあり、会場は微笑み、笑い、盛り上がる。
「きのうここでスカパラのコンサートがあって。見に来たんですよ、2階の最後列で見たんですけど、案外近いですね。2階の人あんまり見ないでください」。
「ここは音がいいって他の人に聞いてたんで楽しみにしてきました」
いつもホールは厚生年金会館なので、ここでのライブは初めてだ。
そう、ここは音響がよいと評判のホールで、劇団四季もここでしかロングランしないらしい。郵政民営化の折り、老朽化などの理由により一時は廃止が決まった。でも、多くの声が存続を望み、名前を変えて今もこうしていい音楽を響かせ続けている。

せっちゃんも「ここ気持ちいいね」と言っていた。

ほんとに今日は(も)ギターがよく鳴った。ギターのネックの付け根ギリギリんところで切なく鳴らす高音がたまらなかった。

だけど、声が。疲れてるんだと思う。って絶対言われたくないと思う。
ツアーはまだ半分。もちろん連日ではないけれど、続いている。続こうが空こうがハコがでかかろうが小さかろうが関係なく、最善、全力でやるはずだ。それが彼の15年だ。だから疲れてるなんて絶対感じさせたくないと思う。でも声帯の筋肉疲労というか、響き渡る張り上げる声はもう、魂が出しているのだと思う。
振り絞るように、しぼってもでなくてもまだしぼるように、ギターを弾き歌う。

ああ、わたしは今マラソンランナーを見ているのだと思った。
ペースを落とそうとしたら足がもつれる。だからこの瞬間にも手加減はなく、全部出すつもりで歌い、ギターを弾く。


昨年から本当によく露出した。CMタイアップ、レコード大賞、映画音楽、テレビ出演、雑誌にもたくさんたくさんインタビュー記事が載った。
売れるって褒められることだ。みんな嬉しい。だからこうして今日このホールも一杯になったのだし、全国で43回もライブができる。動員もある。

でも、ちょっと休ませてあげて。もう、たくさんはいらないから、ちょっとでいいから、みなぎるような命の、炸裂するような歌を聴かせてほしい。

だけど、今のこの風が吹いてる状況で立ち止まってどうする。もう、やるしかないんだ。
体力を温存してどうする。今やらなくていつやる。
停まれば失格だ。マラソンは続く。

そういう思いで見ていた。わたしは沿道で小旗を振る傍観者に過ぎない。
ほんとは水やらバナナやら渡してあげたいのに。無力だ。

あと半分、年を越えて来年もツアーは続く。大阪城ホール単独弾き語りや武道館も控えている。
しぼっても出なくてもしぼり、燃やしながら歌う。
このツアーが終わる頃、もう真っ白な灰になってしまうのではないかと思う。
しかしそこからまたピカピカの命が蘇る。フェニックスのように。まだ誰も見たことのない、本人さえ知らない斎藤和義が生まれるんだと思う。だからその先を見たい。今はまだ旅の途中だ。


後半。挑発されて身体が動き出す。「社会生活不適合者」、“なにをそんなに怒っているの?きれいなものに出会いたいだけ”そうだそうですそうだったよ。笑って生きるのさそれの何が悪い?頭の中から言葉が消えて、やっと音に取り込まれる。
「歩いて帰ろう」、ギターを弾きながら上手花道へ。観客が殺到、来るか、こっち来るか、きたーーーー!!下手花道に来た!左側の人々が席を離れてせっちゃんの足下に群がる。あああ、わたしも行きたいが行けず、と、モーゼの十戒のごとく目の前の人垣が消え、えらく視界がひらけた。そのさきに、ステージに戻るせっちゃんがいた。だれもいなくなった客席をなぞり、わたしを、かすめて見た(と思いたい)。せーっちゃんせーっちゃんといいながらジャンプしていた。その跳躍力はニカウさんもびっくりだったと思う。

アンコール2回。最後は「アンコール」をエレピ弾き語り。

やっぱりアンケートは書かなかった。
こんなくだらないことを書いたって、たとえそれを読んだって、それはせっちゃんを励まさない。今は「最高!」「せっちゃん大好き!」「今夜もよかった!」そういう声援が必要なんだ。それが水やバナナのように今の彼の栄養になり、次のポイントまで走る力になる。

「いややっぱり歌うたい(のバラッド)やったね、あれやらないと怒ったりする客もいるんだろうね」
「まあ矢沢でいうところのタオル投げる曲ですからね」などと話しながら会場を後にする。


しかし、自分が変わったんだろうか?
心があふれてどうしようもない瞬間は今日はなかった。
沿道で眺めている気分だった。高速で走り去っていった。

ボリュームやスピードやマスやその他大勢や
そういうものが過ぎた頃の、新しいせっちゃんがはやく見たい。


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