旅のはなし
父の命日の翌日、ちょっと旅に出た。
行き先はもちろん温泉。ちょうど雪も気にせず行けそうだったので、島根・玉造温泉に。
レッツゴー!と出発したはよいが、「あ!!ひげ剃り忘れた!」と自宅に戻る。
まあすぐ気がついてよかったねなどと笑っていると、後部座席から
「パパちゃん、“うっかりわすれものにきをつけよう”だって!」
バレンタインデーに保育園のお友達からもらったチョコを食べていた息子がこう読み上げた。
そのチョコの個包装には、おみくじがついていたのだった。
あはー当たってるね、なんていいながらドライブ。気持ちがいい天気だ。
高速降りて日本海沿いの国道9号線、追い越し禁止の1車線、先頭はパトカー。
ちんたらちんたらの閉塞状況に、発作的にハンドルを切って降りた先が「琴ヶ浜」。
鳴き砂で有名な海岸。砂は鳴らなかったが、気持ちいい。裸足でしばらく遊ぶ。
車に戻って走りはじめると
「“おさんぽすると、よいことがあるよ”だって!」
おお!今お散歩してきたからいいことあるんじゃない?
なんかうれしくなるおみくじだね。
昼ご飯前に、出雲・湯の川温泉に立ち寄り湯。
日本三大美人の湯というだけあって、肌つべつべ。
さあ、お腹空いたね、とランチに向かおうとした時
「“おいしいものがたべられそうなよかん”だって!」
・・・・!!!
なんかびたびた予言があたる。
オットが
「ちょび、じいちゃんついてきとるよ・・・」と。
そうか、そうだよ。命日、一周忌記念でシャバに帰ってきてるんだよ。
じいちゃん、ちょびが大好きだったからなぁ。
ちょびにひっついて、付いてきてるんだ。
春のようないい天気、1年前の今日も、葬式の日、こんな青い空だった。
おとうさん、息子、もうすぐ1ねんせいなんよ。
後部座席に息子と並んで座ってるであろう父に、ランドセル姿を見せてやりたかったなぁと思うと泣けて仕方がなかった。
「あーっ!!!」
先ほどの温泉に時計を忘れたといってUターンするオット。
「ぜったいお父さん来とるんよ。なんかソワソワするもんー」
オットよ、目に見えなくとも緊張するのね・・・。
さて昼食は奥出雲葡萄園にて。
あはーーーー
なんて美しいんでしょう。シャルドネ。
料理は出西窯の皿に盛られている。美しく豊かだ。
パンと一緒に出てきたディップ、ひとつはオリーブオイル。白いのはカリフラワー、茶色いのはアンチョビ、グリーンはほうれん草、なんて勝手に思っていたらオットが複雑な顔で「・・・ちがう」。
なんだろう、なになに、あ甘い、何の味?と盛り上がっていたら、サービスのソムリエの方に「蜂蜜ミルクと、抹茶と、珈琲のコンフィチュールです」と。
美味しいし、美しいし、もう楽しくて、息子もクラムチャウダーがよっぽど気に入ったのだろうみんなのスープを飲み干した。
メインのポトフ、うまーといただいていると小さいグラスにピンクのワインが注がれて出てきた。
「豚にもよく合いますので。」
えーロゼって甘いんじゃないのと思ったら、すっきりと辛口で、なんというかベリーというか果物のようなフレッシュな香りがほんとうに豚によく合った。
ポトフのスープも「ずっと飲んでいたい」殿堂入りの美味しさだった。
最後のデザートも、あつあつのアップルパイにラムレーズンのアイスが添えられ、そこにまた小さなグラスでデザートワインを出していただいた。
このアップルパイ、アイス、デザートワイン、魂がめろめろになってゆくのがわかった。
「炭酸水で割っていただくと、美味しい食前酒になります」という言葉で、買って帰ろうと決意。
先ほどのロゼ「きすきのさくら」とデザートワインと、西製茶所の出西生姜紅茶と木次乳業のヨーグルトを買った。
玉造までは遠くない。
宿は「湯の助の宿・長楽園」。ここにお世話になるのは2度目。
車で到着すると、わらわらといろんな方が出てきて荷物を持ってくれたり車を移動させたり、古き良き旅館のおもてなしが感じられる。
なんてったってここには“120坪の源泉掛け流し混浴露天風呂”があるのだー。
女性は花柄の“巻き布”を装着して入る。
家族みんなででっかい露天風呂を満喫できるなんて極楽だ。
「ひとたび濯げばかたちきらきらしく、再びゆあみすれば万の病ことごとに除こる」(出雲国風土記)
玉造の湯は湯上がりがいい。肌がもっちもちのしっとりつやつや。ずっとつかっていたい・・
翌日、近くの「作玉湯神社」にお参り。
古代、祭祀用の勾玉が作られていた聖地だそうだ。
そこには「叶い石」というお守りがあって、中の石(水晶)を境内の「願い石」という丸い石にあてて御神水をかけるとそのパワーが宿るのだという。
紙に願い事を書く。
息子の願い事は
「かっこいいいちねんせいになれますように。」
たぶん叶うぞ。
ちょっとドライブして、安来のカフェロッソでパニーニとはちみつロールケーキとバリスタチャンピオンタイトル保持者のカプチーノをいただく。
そして「マリンタラソ出雲」。
ここは我が家の聖地と言っても過言ではない。
ああ、魂ってこんなに綺麗だったのかと思うくらい洗濯できる。
多伎の目の前の海から汲み上げた新鮮な海水の「元気海プール」。
ずーーーーーっとつかっていた。
目に見えないものに耳を澄ませば
あの世から遊びにきた父にも会えた。
自分を信じてあげること。家族と仲良く暮らすこと。
少々のことじゃゆらがないくらいに満ち満ちた。
いい旅でした。
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コメント
すてきな旅でしたね!
目に見えなくても緊張しているオット氏・・・
お察ししますよ!(^-^)v
投稿: noriquo | 2010年2月25日 (木) 午後 08時31分
noriquoさま
はー楽しい旅でした。
やっぱ美酒で魂ぴかぴかです
投稿: はなみ | 2010年3月 2日 (火) 午後 06時16分