夏の悲劇・金魚編
夏の悲劇・金魚編
【その1】
昨夜、実家の近所の地蔵尊夏祭りに行ったときのことだった。
くじびき、ヨーヨー釣り、わたあめなど、祭りの定番をいとこたちと楽しんだちょびは
「きんぎょすくうー」と言い出した。
いとこたちのママは「うちは飼えないからダメ!」
そう、わたしも幼い頃金魚すくいは親にいい顔されなかった。
庭に池がありコイが泳いでいたので、すくったヒブナはそこに放したが、日に日に数が減る諸行無常を眺めていた。
うちには池はない。
しかし金魚すくいはさせてやりたい。
金魚すくいはやっぱりしたいよね。
ということで毎年数匹すくってきては、広口花瓶で数日飼って冥土に送っていたのであった。
強い紙500円、はおこづかいに苦しかったようで、普通の紙300円のポイを受け取り構えた。
なんでも、NHKかなんかの番組で、金魚すくい名人の技を見たのだそうだ。
イメージトレーニングの成果か、水の抵抗を最小限に、切るように大胆にポイを動かし、金魚を追いつめていく。
が、見るとやるとでは大違いで、めしっと穴があいて終了。
それでも3匹すくっていた。すごいじゃないか。
しかしやつのイメージでは、おわんに水より魚が多いくらいすくうつもりだったらしく不満そう。
もういっこください!とサイフを空にして挑戦。
が、今度は1匹しかすくえず。チーン。
黒いでめきんと赤いヒブナをおまけしてもらって、都合6匹獲得したのだった。
お祭りを満喫し、車で帰宅。
前に急に割り込んできた車に強めのブレーキをかけた。
「あ!そういえばきんぎょどうなったかねぇ」
というマヌケな声がきこえた。
はあ?
「きんぎょ落ちちゃった」
袋を手に持たず、ドアノブに適当にひっかけていたから外れてフロアマットに落ちたらしい。
「バカーーーーーーー!!!」
猛スピードで帰宅しボウルに水を汲んで降りて床を見ると、ぴしゃぴしゃと弱々しくはねてる金魚が見えた。
1匹ずつ手でつかまえて水に放すと、ほっとしたように泳ぎ出した。よかった。
1234・・・・5匹。1匹足らん。。。
暗くてよく見えない。
手探りで探してもいない。
「懐中電灯もっといで!!!!」
ダッシュするちょび。
遅い!!!
やっとでっかい懐中電灯をひっぱりだして持ってきた。
てめーいっつもちっちゃいライトを光らせて遊んどるだろうが。それ持ってこいや応用の効かんやつめと心の中で悪態をつきながら床を照らすと、座席のレールの隙間に黒い尾びれが見えた。
残念ながらそこは高温で、すでに湯だって死んでいた。
水にぷかーーーんと浮いていた。
帰宅して、
ちょびが手に持っててあげたら死なずにすんだのに。自分でとった金魚の命に無責任すぎる。と叱った。
5匹、なんとか泳いでいる。
1匹、黒いでめきんを、ベランダの空いた鉢に埋めて「ごめんね」とお葬式をした。
ごはんをたべていると、じわじわと涙がにじんでひっく、ひっく、といいだした。
だんだん勢いがついてぶえ〜〜と上を向いて泣いた。
「き ヒック きんぎょが じんだーーーー」
もう、しょうがないよ。残りの5匹を大事に飼おうねと頭を撫でた。
夏の悲劇・金魚編
【その2】
広口花瓶ではすぐ死んじゃうので、水草を買いにペットショップへ。
すると、濾過装置や空気ポンプなどがオールインワンになった金魚飼育スターターキットの小さいアクリル水槽があったのでそれを買った。水草も、砂砂利も買った。
帰宅してちょびははりきって準備する。
説明書が読めないので、読めとせがむ。
まず、器具を洗います。「はーーーーい!」
砂利を洗います。「はい、おこめとぐのといっしょね」
水草を植えます。「じゃくじゃく」
水を入れます。「だばだばだば」
カルキ抜きを入れて、電源オン。「うわーーーうごいた!くうきがはいりよるよ!」
はい、じゃあしばらくしたら金魚を移します、が、かーちゃんはちょっとお買い物に行ってきますので待っててね。
「はーーーい!」
ということで近所のスーパーにちょいとしたものを買いに行き、数分後に戻った。
玄関を開けると猛スピードで走ってきた息子が手をうーーーんとのばし、わたしの口に手をあててこう言った。
「かーちゃん!!!おこらんといて!!
あのね、だいじけん!!!」
なんなのーーーーー!!
なんでも、かーちゃんの帰りを待たずに金魚を移そうとし、水槽をひっくりかえしそうになってぶちまけ、またもやそこいらじゅうに金魚を放したらしい。ぴちぴち。
見ると、見事に現状復帰してあり、金魚は新しい住まいで悠々と泳いでいた。
「で。なにがどうしてどうなったの?」
「まずー、きんぎょいきなりいれるとびっくりしますってかーちゃんがいいよったけー、びにるぶくろにーきんぎょをいれてすいそうにいれたらー、みずがばーってなってー、びっくりしたらびにるぶくろがおちてーきんぎょが、ぴちぴちーってはねたんよ!でー、きんぎょをてでひろってー、すいそうにいれてー、ゆかをふいたんよー。たいへんだったー」
「 そうですか・・・」
ひとまず、電話の子機がずぶぬれであった(涙)
コンセント付近をぞうきんで拭いたかと思うとそっちがゾッとしたので感電死したらかーちゃん叱っても生き返らないよと言って聞かせる。
水槽をちゃんと設置し、のろのと片付けていると
「・・・すん・・すん・・・ごめんなしゃい・・・」
「はいはい。おつかれさまでした」
まあ、残った金魚、気持ち良さそうじゃない。よかったね。
夏の悲劇・金魚編
【番外編】
片付け終え、やれやれと洗面所で手を洗いタオルで手を
拭くと、
重く濡れていた・・・・・・・
「あのー、ちょびさんや。これ、どうしたの?」
「あー、おそとのふきんでふいたけどたりなくてー、それでもふいた」
「・・・・・・あのさー
床ふいたタオル、ここにかけといちゃだめでしょうよ。」
「あー・・・・」
なんだか生臭いタオルを洗濯機に投げ込み、石けんで手を洗うもののなんだか流しきれない疲れを感じた。
夏休みはもうしばらく続く。
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