« 夏野菜! | トップページ | 父の携帯 »

2010年8月10日 (火)

きすけん

■8月6日は登校日

 ということで、息子ちょび(小1)は7時50分までに登校し、みんなで平和式典を見て、黙祷して、話を聞いて昼前に帰宅した。

 どうだった?となにげなく聞くと、本人なりにいろんなギモンがあったのだろう、制服をぬいで着替えながらいろいろ聞いてきた。それはねぇ、と用事を済ませながら答えていたのだが、

 「あのーひこうきがいっぱいきて、ばくだんいっぱい、雨みたいにふらせたんでしょ?なのになんでげんばくは1こなの?」と。

 うーん、

 「広島はね、爆弾雨みたいに降らなかったんだよ。近くのね、呉とか、福山とか、あと東京とかね、あちこちの街は爆弾いっぱい降ったんだよ。で、いっぱい街がやけて、いっぱい人が死んだよ。
 でもね、ひろしまは、空襲なかったんだよ。」

 「くうしゅう?」

 「うん、爆弾、落とさなかったの。あたらしくできた、原子爆弾がどのくらいすごいか、広島で実験するために空襲しないでおいたんだよ。」

 「じっけん。。。じゃあ、わざとじゃないから、いいんだよね」

 実験、
 
 最近、雑誌のふろくで実験キットを手に入れたのだった。
 「じっけんって、どういういみ?」と聞くので、一緒に辞典をひいたのだ。

 「結果がどうなるかを知るために、実際に試してみること。」とあった。

 だから、ちょびは実験はいいことだと思ったようだ。

 「うん、もしこの広島にだれもいなくて、なんにもないところだったらよかったけど、こうやって、65年前の今日もちょびとかーちゃんみたいにこうして普通に話をしてた、その上に落としたんだよ。
 ご飯食べてたり、お仕事に行く途中だったり、普通に暮らしてた人の上に原爆落としたの。そんな実験、だめだよね。」

 生きてるひとの上に爆弾をおとすじっけんなんて
 息子の顔色が変わった。

 「だれがわるいの・・・じっけんしたひと、しんだ?」

 「だれが悪いんだろうね・・・
 アメリカと戦争してて、アメリカが原爆落としたんだけど、アメリカの、普通の人たちだってたくさん死んだんだよ。自分の大切な人を殺された恨みで、敵国を殺せって、お互いに殺し合ったんだ。
 だけど、そうやって殺し合いをさせた人は、絶対に死なないとこにいたんだよ。」

 「もうやめて・・・そんなおはなししてたら、せんそうになるから、もうやめて・・・」

 パンツ一丁のちょびが泣いた。

 ちょび、そんなお話をしないと戦争になるんだよ、と思いながら、ぎゅーと抱いて
 「大丈夫、ぜったい戦争なんかしないから。ちょびが人を殺すような殺されるようなことにはかーちゃんがぜったいにさせないからね」と言った。

 息子にうそをつくわけにはいかない。かーちゃんは、絶対に戦争を許しません。
 と、言いながら、今も戦いがあり人がたくさん死んでいることを思う。
 無力さを思う。
 どうしたらよいのか、わからない。わからないけど、考え続けたい。


■歯がぬけた!

 はやいお友達は保育園の時にもう前歯が無い子もいたけれど、ちょびはなかなか抜けなかった。
 それより先に6歳臼歯が生えた。
 というか、生えたいけどはぶ(はぐきのこと)が邪魔して生えられず、痛くていたくて、歯医者さんで切開してもらった。
 それから、まるで朝顔の芽が出るみたいな勢いで、にょきにょきと生えた。

 「まえばがぐらぐらするから、たべにくいー」と言っていたが、
 このたび、たくあんをかじっていてガリッ、というものすごい音とともに下の前歯が抜けた。

 下の歯は、屋根裏めがけて投げるんだ
 ねーずみさん、ねーずみさん、いい歯にかえとくれーと言いながら。
 ある日ベランダで人の歯を発見するとぎょっとするだろうなあ。マンションでは無理だ。

 ひとまず、ちいさなビンに入れている。

 もう、大人の歯が顔をのぞかせている。


■きすけん

 「ああ、ちょび、“しんせつ”がしたいなぁ」

 と遊びにいった車の中で薮から棒に言い出した。

 「は?親切??」

 「そう。かーちゃんがおねつだしたとき、ちょびしんせつしたでしょ?そしたらかーちゃんすごくうれしかったでしょ?だったらー、おこらんですむけー、しんせつがいいでしょ?」

 要は怒りんぼのかーちゃんをなんとかしたいらしい。
 だったらキミが怒られるようなことをしなければいい話だ。
 しんせつで誤摩化されても困る。

 ということで帰宅後、さっそく机に向かいはじめた。

 しばらくして、

 「じゃーーーーーん!はい、これかーちゃんの。これは、ぱぱちゃん!」

 と、折り紙を何枚かくれた。

 そこには

 「かたもみけん」
 「おさらをあらうけん」
 「おてつだいけん」
 などがあった。

 「これはー、1かいつかうごとにスタンプをひとつおします。でー、それが20こになったらー、またあたらしいけんをあげます。」
 というシステムらしい。ほほー。

 ほかにも

 「すごいけん」
 「なんでもけん」
 てのもある。

 「これはー、もうすごいよ。このけんをわたすとー、なんでもしてくれる。しかもーそれはすごい。2まいいっしょにつかうと、こうかてき」

 ほほー、一体何が起こるのであろうか。使うのがちょっとこわい。

 「きすけん」
 というのもあった。なんですかこれは

 「ちゅーできるけんよ」
 ・・・ちゅーですか。

 いつでもいいけぇ、つかってね!と自慢げである。
 パパちゃんもにこにこ
 「有効期限は?」
 「ありません。しぬまでゆうこう」

 ということなので、オットは30年後、70のジジイになった頃36の息子に「きすけん」を行使するつもりらしい。

 わたしは、老後「なんでもけん」をそっとだし、小遣いをせびろうと思っている。


Photo


|

« 夏野菜! | トップページ | 父の携帯 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: きすけん:

« 夏野菜! | トップページ | 父の携帯 »