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2006年8月22日 (火)

よい取材者とは

このごろ取材で人に話を伺う機会が増えている。

口から産まれたのではないかと言われるほど
元来話すのは苦にならないのだが、
インタビューというのは
なかなか難しいものだと思う。


初めてインタビューをしたのは
とある座談会の司会者としてだった。
初対面の学生数人、
雰囲気も固く話しも弾まない。
あとで録音したテープを聴くと
なんとか場を盛り上げようとする
わたしのきんきん声ばかりが耳につく。
用意した結論へと誘導するような質問に、
ええ、ああ、そうですね
苦い経験だった。


それからいくつか取材にあたり、
必要十分な情報を聞き出す術は
そこそこ身に付いたかな、という頃。
ある人を取材して話しを聞いた時、
インタビューの奥深さに気づかされたのだった。


とある企業の社長、多忙で分刻みのスケジュール。
取材慣れしているから、要領を得た回答が
気持ちよく返ってくる。
しかし、
起業を目指す人のための起業家事例集、
ということは、
なぜ、その人がこの会社を立ち上げたのか
そこにあるドラマを
すくいとらなくてはならない。
どうしてその仕事に魅力を感じたのだろう
という疑問を埋めるべく
質問は小さい頃の話し、何に影響を受け、憧れたのか
些細なことにさかのぼって聞いた。

戸惑いつつ思い出し話し始めると
自分の今までの人生に思いを寄せるように
熱を帯びて語り始めた。
普段の取材ではこんなこと話さないけど、と
かつて重い病で余命宣告をされたこと、
限りある命ならば、生きた証を残したい、
そして起業に至ったその気持ちを
ありのまま話してくださった。

不覚にも涙があふれて、
取材ノートの文字も乱れた。
たった数時間前に初めて会った人なのに
その人の半生を
寄り添って見せてもらったようだった。

そこからは、今開発に精魂込めている事例について
熱心に語ってくださった。
それはもう、取材に応えるという範疇を出て
ただ知ってほしい、どんなにすごいか
わかってほしいと言う執念すら感じた。
予定を大幅に越えて、4時間、話した。

文字数にして600字ちょっとの原稿だ。
膨大なメモと録音テープだったが、
確信に近いものが得られていて
その人のために、よりよく伝えたいと思い、書いた。


もちろん事前にある程度の予備知識は必要だ。
そのときもたまたま前職で得た
インターネットに関する知識があったため
「ほかの取材者にはその説明をするのに1時間かかるんだ」
ということがすんなり理解できたことが
気持ちよく話してもらえた一因であることは
間違いない。


しかし、あの不思議な感覚、
共鳴、というのか、
この出会いに感謝しなくては
知ったことを伝えなければと
使命として感じることができたことは
大きな歓びだった。


これからも取材を通じていろんな方に
会うことがあるだろう。

共鳴し、大切なことを受け取り
より伝わりやすい言葉で
読む人に伝えたいと思う。

それに加えて、
よい取材者になるためのヒントを見つけた。

「ほぼ日」糸井重里氏が「今日のダーリン」
というほぼ毎日更新のコラムで
こう、書かれていた。


ーーーーーーーーーー
●8月5日(土)
このところ、「ほぼ日」についての取材やインタビューを、
やや積極的に受けています。
昨夜も、日垣隆さんとの対談というスタイルで、
自分の考えを探るということをしてきました。
この先も、もう少し、こういうことを続けていく予定です。

ひとりで考えているときにも、
いわば、自問自答というかたちで、
自分に質問を投げかけているのでしょうが、
それだけでは探れない自分の考えというものがあります。
「訊かれたので、はじめて考えてみた」というよりも、
訊かれたおかげで、考えを整理しはじめるんでしょうね。
「ああ、オレは、そう思っていたのか」と
気付いたことを元にして、さらに考えを進める。
これは自分にとっての、なかなか貴重なチャンスです。

ぼくの場合、いい取材者に出会ったときの
インタビューとか、取材とかは、
ほんとうにうれしい発見の場になります。
それで育った自分、というものが明らかにあります。

そういえば、「ほぼ日」で二度ばかり、
乗組員二人ずつチームになって、
互いに相手を取材してレポートをまとめる、
という仕事をしてもらったことがありました。
これは、もちろん訊く練習でもあるけれど、
「訊かれる練習」の意味のほうが、より強いんです。
ふつう毎日生きている人が、「取材される」
ということは、なかなかありません。
でも、取材される、質問されることで
鍛えられていく自分、というのあるものなのです。
あなたも、誰かとインタビューごっこを、してみたら?
けっこうおもしろいと思いますよ。

ほぼ日刊イトイ新聞 8月5日付「今日のダーリン」》
ーーーーーーーーーー


インタビューをさせていただいた方にも
ほんとうにうれしい発見の場となる
そんな取材ができたらいいと願う。


●前出、インタビューさせていただいた社長の会社は
 こちらです↓
 
 コンテンツ株式会社(岡山市)
 http://www.contents-jp.com/
 ※開くと音楽が鳴ります
 
 

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コメント

とっても共感できる話です。
僕も取材中、良く泣いています(笑)

http://blog.livedoor.jp/t_doumori/archives/50939109.html

私のブログの過去記事ですが、
共鳴することがあったので。

またいい話をよろしくお願いします。

投稿: doumori | 2006年9月 6日 (水) 22時40分

doumoriさま、コメントありがとうございます。
過去記事拝見しました。
「取材をうけて、自分が普段、伝えられないことが、言葉にできた」
取材者冥利に尽きる言葉ですね。
いい時間を共有できた幸せが伝わります。
わたしもいい取材者になれるよう、
風のように過ぎるものをキャッチできる感受性を
磨いていきたいと思います。

投稿: スナリ | 2006年9月20日 (水) 18時13分

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