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2007年4月 4日 (水)

スペシャルティコーヒー

実は、珈琲はあんまり好きではなかった。
飲むとしたら牛乳たっぷりだった。
苦いし酸っぱいし、きっと自分の口が子どもなんだ
と思っていた。

中国茶にどっぷりはまって、
飲む物を飲む時の姿勢、というか
この香りはなんだろう、この味わいはどうだろう
と、耳を澄ます癖がついてから
珈琲も美味しいと思う瞬間が増えた。
ブラックでも飲めるようになった。
自宅でも焙煎の上手な店の豆を挽いてもらって
ドリップすることが増えた。

中国茶の魅力でわたしを虜にしてくれた
旨いものアンテナの鋭い友人が
「あそこの珈琲はすごい」と教えてくれた店、
「コーヒービーンズショップ・スマイル」
に行ってみたのだった。

焙煎のいい香りのするお店はそんなに広くなくて
ガラス瓶に入れられた豆が棚に並んでいる。
「試飲してみられますか」
椅子に腰掛けて淹れる様子を見ていると、
あれ、ペーパードリップじゃない。
紅茶を淹れるような、フレンチプレスで淹れてる。
出された珈琲は、なんだか濁っている。
「珈琲は琥珀色の液体」じゃなかったっけ。
といぶかしがりつつ一口。
「なんじゃこれは!?」
見た目とのギャップがすごい。
驚くほど、クリア。ぜんぜん、嫌な雑味がない。
しかもなんだか、フルーティですらある。

これが、スペシャルティコーヒーだという。

いい珈琲といえば、ブルマン、とか
ブランドで決まると思っていた。
美味しさを左右するのは焙煎や抽出の腕であって
豆自体のポテンシャルをどうこう言うハナシは
あんまり聞いたことがなかった。

ところが、近年、豆の流通が変わりはじめているという。
まとめて取引されていたものの中から
専門家のテストによってより厳しく選別・評価された
特に質の高いものを「スペシャルティコーヒー」
として定義されるようになったのだそうだ。
そのため、生産国だけでなく、どの農園の誰が作り
どのような精製をされた豆なのかという出生が明確になる。
生産各国ではスペシャルティコーヒー協会が設立され、
品評会が開催され、優秀な豆は通常の流通経路ではなく、
オークションに出品され高値で取引されるそうだ。
素人ながら、これはとてもいいことだと思う。
農園の人々も新しい流通経路を得て、
いい豆を育てて高い評価を得たいと思うだろうし、
全体の質も向上するだろうし、
消費する我々もより美味しい珈琲が味わえるわけだ。

スペシャルティコーヒーの特徴を最もよく
抽出するには、フレンチプレスがいいという。
旨味やフレーバーがつまってる豆のオイル分ごと
抽出できるから。
ペーパードリップでは、せっかくのそのオイル分を
ペーパーが吸ってしまうんだそうだ。
いい豆も悪い豆もその特徴がストレートに出るのが
フレンチプレス、
あんまりいい豆じゃなくても、いいところを引き出し
悪いところをおさえる技術があればおいしくできるのが
ペーパードリップ、というところか。


スペシャルティコーヒーをはじめて飲んで驚いたのは
その香りの豊かさだった。
ワイン並みのフレーバーの特徴を持つのだという。
表現もワインのそれと似ている。
酸味(アシディティ)の表現にしても
「オレンジなどのシトラス系の香りを持つもの、
マンゴーなどトロピカルフルーツの香りを持つもの、
ベリーの香りを持つもの、ベリーの中でも
最も酸味のキレがあるのがストロベリーで
コクがあって甘味が加わるとブルーベリー、
もっとコクが強くなるとラズベリー、ブラックベリー・・・」
淹れてもらった「エチオピア イルガチェフェ」
のカップに顔を埋めるようにして夢中でかぐ。

中国茶と一緒だー、と思っていた。
茶樹の品種だけでなく、茶畑の標高や日照、
肥料でさえ味を左右する。摘み取りや精製方法も
香りの大事な要素となる。
「この茶樹のまわりには柑橘の果樹が植えてあるのです」
その空気を呼吸した茶葉にはやはりその香りがある。
お茶を飲みながらかぎながら、
その茶葉が育った景色を見ている。

珈琲も、そんな愉しみ方ができるように
なってゆくのかもしれない。

ともかく、新しい愉しみを手に入れた。
コーヒーミルと、フレンチプレスを早速買って
ごーりごーり挽いて淹れては
くらくらするような妖艶な香りにめろめろになっている。


Coffee Beans Shop Smile
広島市東区二葉の里2-8-9
TEL/FAX:082-264-8155

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コメント

中国茶は茶杯と聞香杯があって、その歴史と言うか文化と言うか、奥深いものを思わせますよネ!
珈琲もおそらくお茶に負けないような歴史と文化のなかで楽しまれ続けてきた飲み物だと思います。
残念なことに珈琲はその歴史の中で価格競争に曝され、コマーシャルで安価=美味しくないものが流通し、少し高価だけど素晴らしい風味の特徴を持っていることが忘れ去られているようです。
花や果物のような香り、チョコレートやブルベリーを思わせる風味を持つ珈琲を楽しんでください!

投稿: smile | 2007年4月18日 (水) 11時10分

smileさま、早速にメッセージありがとうございます。
複雑な香りの中から、たまに
「あっ、アプリコットだった!」と見つけた時の歓び
新しい珈琲の楽しみ方を手に入れました。ありがとうございます。
これからもいろんな表情の珈琲を楽しみたいので
また伺います!

投稿: | 2007年4月19日 (木) 16時41分

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