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2007年6月29日 (金)

初夏の旅・直島


早朝出発、高速道路を東へ。
山陽道から瀬戸中央自動車道に分かれ、水島I.C.を下りる。30分少々で、岡山県玉野市・宇野港に到着。

到着順に駐車して、直島行きフェリーを待つ。
梅雨入り前の、さわやかで静かな初夏の日。

フェリーにゆられて20分、そこはもう香川県。

直島の玄関口、宮浦港で出迎えてくれるのが
「海の駅なおしま」。


Sanna

華奢な躯体、ガラス張りの構造が軽やかな印象で、周囲の風景を透過し、反射し、きらきらと溶け込んでいる。『Dior表参道』や『金沢21世紀美術館』を手がけた建築家の妹島和世・西沢立衛両氏による建築ユニットSANAAの作品。昨年10月に完成したそうだ。

直島といえば安藤建築の聖地のようなイメージもあったが、それだけではなく、こうして少しずつ新たな進化を続けている。

その向こう、海の側にはひときわ目をひくものが。

Akakabocya


草間弥生「赤かぼちゃ」。
穴があいてて、中に入ることができる。

Naka

島内の作品は触れたり撮影することが制限されている。訪れた人々が最後に思う存分触って写真を撮って帰ることができる思い出スポットのようだ。

直島の中心地・本村地区「家プロジェクト」。
かつて城下町として賑わった町も過疎化が進み、廃屋となる家が出てきた。当然、町も荒む。庄屋に次ぐ古くからの大きな家は立派で、そのまま潰すのも忍びない。古民家再生を、アート活動と共にしていこうとはじまったのが「家プロジェクト」だ。

Yakisugiita

「角屋」
200年ほど前に建てられた家の外観を、漆喰仕上げ、焼杉板、本瓦で元の姿に復元した。
屋内には、暗い部屋一面に広がる水の中で数字カウンターが無数に点滅する宮島達男氏の作品「Sea of Time'98」がある。
このカウンターの点滅速度は、上は95歳、下は5歳までの島民125人が参加しそれぞれが決めたのだそうだ。どの場所に自分が設定したカウンターがあるか示した図と、○○さんへという作者のサイン入り参加証明書も発行され、参加者たちの新たな家宝になっているという。
アート?現代美術?そんなもんが自分たちの日常生活に「侵入」してくるという抵抗感は、作家やキュレーター、役場の人たちの熱心な働きかけとコミュニケーションで払拭され、作品の制作過程に参加することで新たな歓びと自分たちの住む町の価値を見いだすことになった。

芸術活動に触発されて、昔ながらの屋号を揃いのプレートにして家にかけたり、家のイメージを表す暖簾をかけたり、本村地区の家並は穏やかで懐かしい表情をたたえている。芸術が、過疎化を止め、町を活性化させた。今では町の人々がボランティアで旅の人に作品の解説や案内を自ら買って出ている。

Namecade

Noren

余談だが、「直島」というのは、保元の乱に破れた崇徳天皇が讃岐に流される途中立ち寄り、島民の素朴さに心打たれて命名したのだそうだ。現在の直島シンボルマークは「素直くん」。数百年経た今も穏やかな人柄のDNAが引き継がれているようだ。出会う人みんないい人。


島の南側の高台に位置するベネッセハウス・ミュージアムから海岸端に下りると、そこには屋外作品群がある。


大竹伸朗氏の「シップヤード・ワークス 船尾と穴」。
この場所に、あるべくして存在するもの。


Ship

空がかわっていく。
風が止まない。
鳥が鳴いている。
海が、ここにある。

作品を見ながら実は
自分の内側に目を凝らしている。

崖になにかある。
これも作品。


Photo_39

杉本博司氏の、海の写真。

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コメント

現代ARTが自然に溶け込んでいるようでいいですね。
美術館などの閉塞的な場所ではなくて、自然と調和しつつ鑑賞できるから、自己との対話もしやすいのかな。

宮島達男氏の作品は好きなので観にいきたいな。
あの不規則なカウンターを見ながらぼーっとふけるのも良いのですよね。
前に広島市現代美術館の地下の一室で作品が展示されていた時を思い出すなぁ。

投稿: ぬる | 2007年6月29日 (金) 23時15分

ぬるちゃん、どうも。
そそ、ホワイトキューブで見るのもいいけど、
ぜんっぜん違う印象を受けます。
わかってもわからんでもええんだ、
ただただ、眺めるのが楽しい。
贅沢な時間ですよー。ぜひ!

投稿: はなみ | 2007年7月 5日 (木) 16時36分

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