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2008年4月 1日 (火)

コピーライター養成講座修了

昨年12月から博多に通って受講していた「コピーライター養成講座」の最終回。
講師はコトバ 山本高史氏。

 「神戸女学院大学の内田樹さんがこういっていた、
 それはおそろしくあたっていてびっくりした、
 今の子どもは生まれつき消費者である、
 だから選択することに長けている、
 「先生、これって役に立つんですか?」、
 自分には選ぶ権利があると思っている、
 自分は客だと思っている、
 おまえら客だ、みんなお客さんだ、
 だからおまえらだめなんだ」。

遅刻者が多いことから、
共感の実例から説教に持っていく荒技でいきなりたたき斬る。
音もなくバッサリやられて静まり返る一同。すでに血みどろ。

 「人に何を伝えるか、
 人はネガなところ、そこを埋めようとして
 人に伝えるんじゃないのか、
 愛のない人間にコミュニケーションはできない、
 愛とは、人にぶつかることだろう、
 人を思いやる想像力だろう、
 「どうやったら上手くなるんですか」なんて
 聞いたってしょうがないじゃないか」。

 「・・・はい、じゃあ質問ある人」
見えない刀がみんなをなめ回す。
ぎらぎらした切っ先が頬のあたりをぴたぴたなぶる。
「は、はいっ!!」
質問しなくては殺される、くらいの覚悟で手が挙がる。


折しも、
案本 あんぼん 
「ユニーク」な
「アイデア」の
「提案」のための
「脳内経験」

が発売となった翌日の講義だ。
わたしも書店に走り夜なべで読破して臨んだ。
(で、サインしてもらった。ミーハー万歳)

その本には、前回の講義内容が整理整頓され増幅されて収まっていた。
(前回の講義はこの本の締め切り前だったそうです、どうりでやつれてらした)

自分の主観だけで対象を表現すると、それは偏見。
偏見は、支持を得にくい。
共感の精度を上げるには、客観—様々な「脳内アングル」からその対象を照らし、世の中における「正しい姿」を浮かび上がらせ把握すること。
把握した確信から想像力の枝を伸ばすことで、妥当性の高いアイデアが形を結ぶ。

ということが、ものすごくわかりやすく書いてある。
今まで読んだ「コピーをどう書くか、アイデアはどうひねるか」の類いの本の中でも、なんとも腑に落ちる感じは一番だと思う。
わかりやすく読みやすく書くというのは一番難しい。
しかも読んでる人を読み飽きさせないような心遣いもある。

余談だけど、その本の中に氏が1993年頃書いた文章が引用されていた。
文学だー。頭がいいのがだだもれるような文章だった。
でも、人を寄せ付けない孤高も感じさせる文章だ。
どっちかというと、今回のするすると楽しく読める文章を書く方が
うんと難しいことだろうと思った。すごいな。


で、生徒たちの質問への答えは、その本の行間を熱くたぎらせるものだった。
コピーをどう書くか、なんて小手先のその前の、どう生きるかこそが大事なんじゃないか、お前はどう思うんだ、どう考えるんだ、
びしびしと本気が打ち込まれる。
その場にいた全員がたぶん、自分に重ねて聞いて自分を省みただろう。


わたしも聞いてみたいことがあった。

大手代理店でいろんな先輩に育てられた氏のような経験もなく、
こうして独立して判断はすべて自分、
すごい人に会って話をして聞くことで得られることがあると思っていたが、
すごいなーと思うけど、だからといって自分に確信が持てない。
どうやって、自力で育てばいいのか。

 「あなたの言うすごい人って誰」
えーと、最近で言うとコピー講座の各先生とか、ブルータスのフクヘンとか、大学の先生方や、ガラス作家さんや・・・・
 「すごい人っていうのは、一芸に秀でた人だけじゃないでしょ、
 すごい図書館員も、すごい窓口係もいる。
 すごいのは、その人の何なのか、集中力なのか、打たれ強さなのか、
 その人的なものは何なのかをちゃんと把握しなさい。
 すごい人、という全人的なものに圧倒され傾倒する必要はない。
 いい大人なんだから、選びなさい。
 それを自分と比べずに、自分に取り入れて「経験データベース」に仕舞いなさい」。

そうか。そうだ。

そして質問しながら気がついたことがある。
わたしが「すごい人」という人々の何がすごいのか
それは「蓄積」だ。
一つのことを追いかけて深めた時間の蓄積が成果として現れる人々を、すごいと思っていたのだと気がつく。
わたしには、それがない、あるいは足らない、
「すごい人」との時間の蓄積の差が、コンプレックスになっていたんだ。
そんなもん、今日明日で解消するわけがない。
このままでは一生蓄積しないし、解消しない。
でも、今からはじめて蓄積すれば、10年後には、10年分溜まっていることになる。

さいごに、
 「寺本さんがさっき、もっと早くこの講座を受けていればよかった
 と言っていましたが、始めるのに遅すぎることなんてなにもない。
 最近、ブログを始めた男の話を、ラジオCMで書いたんです。
 なんにも趣味のない中年の男がラーメン屋で写真をとる人に
 何のために撮るのかと聞くと、ブログにアップするのだという、
 1食1枚撮って1日3枚、40年生きたとして43800枚、
 今からはじめてもそれだけの蓄積ができる、そういう話」。

今からはじめても遅くない。
それはどんな言葉より力強い励ましだった。


講義終了後、懇親会。
「全員、これからどうなりたいか言ってみろ」というお題で
カミングアウト(?)後だったこともあり、みんな打ち解けていた。
たくさんしゃべった。
2次会、3次会、ぬけだしてクラスメイトのライブに乱入して絶叫したり
(いやがらせじゃないよ)
カラオケで熱唱したり、博多の夜は更けていった。

講座は終わっちゃったけど、これからですから。
それぞれの願いが自力で叶いますように。


Photo


写メする天才。
まぶしすぎです、高史さん。
ありがとうございました!

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コメント

山本さんの人間の深さっていうか考え方に触れただけでも天才の凄み感じますよね。

小西さんも言ってましたが、コピーライターの技量は経験値で決まるというのは共感できるひとつです。

投稿: オッミー | 2008年4月10日 (木) 00時09分

とても濃い、濃い、講義だったようだね。
ビデオ補講、受けようかな、と初めて
思ったよ(笑)。

人間力が出る、山本さんのコピーや文章に届くには、まだまだ裾野の裾野だけど、そういったリスペクトできる方に会えたことは財産だね。

しかし、姐さんの記憶力?メモ力?には感服です。

投稿: パナッコ | 2008年4月13日 (日) 23時02分

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