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2009年11月20日 (金)

楽しい勉強をはじめます


 「楽しい勉強」をはじめようと思います。

 ことのきっかけは「放下著」の旅だった。
 なにもかも、余計なものを捨てようと思って旅していたある日、熊本県・人吉の宿で明け方に夢を見た。ねぼけながらケータイにメモして朝風呂につかった。
 湯の中でほどけながら思い出して考えた。そして不思議な気持ちになった。
 その夢とはこんな夢だった。(日記より抜粋)

 『この旅に来て毎朝夢を見る。しかも、示唆に富むというか、いいこと言うなぁと感心して目が覚める。枕元のケータイにメモして起きる。自分の頭で見た夢に違いないが、自分で考えたとは思えない。今朝の夢は、木造の小学校だろうか、大きな建物を耐震工事して保存、そこには見た目悪いけどおいしい果物屋さん、保育園、ダンス教室、花屋さん、パン屋さんなんかがあって、小さい部屋では日々なにかの教室が開かれ、そこで作る雑誌のタイトルが「楽しい勉強」。昨日よりなにかひとつ、できる歓び。そんな夢。』

 教室で開かれる勉強会があんまり楽しくて、そこに参加していない人にもお裾分けというか、こんなに面白いことの一部でも伝えたいと思ったのだ。それが「楽しい勉強」という冊子だった。

 「楽しい勉強」か。
 それにしてもわたしは楽しい勉強に恵まれている。仕事でも、すごい!と思うことにたくさん遭遇する。そんなとき心が躍る。誰かに言いたくなる。自分一人の胸におさめとくのがもったいないと思う。

 昔、美しい雑誌をつくりたかったことがあった。実際そういう雑誌の制作に携わったこともあった。でもいやになってやめた。
 なにがいやだったのか。
 素晴らしく美味しい料理を食べさせてくれる店、すごい技術を持った職人、そういうものを取材して紹介するのだが、それがなんだか「虎の威を借る狐」みたいだなと思ったのだ。そういう雑誌の編集者ですと紹介されると、なにか生温い親しさをもって近づいてくる人がいたのも心地悪かった。
 わたしは何者でもないのに。凄い人でもなんでもなくて、むしろなんにもできないつまんない人間なのにと思って苦しかった。

 その苦しさを払拭したくて、何者かになろうとしてもがいてきた。名前がほしかったのだ。「コピーライター」とか「編集者」とかそういう。名付ければ居場所ができる。世間から認められる。だけど自分でも持て余すような様々な種類の仕事に遭遇し、自分が一体何屋なのかますます説明がつかなくなった。それは今でもかわらない。

 放下著(ほうげじゃく)。なにかに成りたい思いも、認められない悔しさも、全部捨てたらやっと、自分は何者でもないうえに名付けられないものなのだと思えるようになった。

 そしてそんな夢をみたのだ。
 わたしの存在理由はそういう心が躍るようなできごとだ。紙だろうがなんだろうが、その鮮度のあるうちに、そのときの気持ちとともに、それを誰かに報告したい。
 なので、このスナリのブログではじめてみようと思う。

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