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2011年2月 4日 (金)

シューカツ☆ブルース

 新卒学生さんの就職活動のニュースなどを見聞きするたびに、花の女子大生だったころの、自分のシュウカツを思い出していろんな思いがもやもやとこみ上げてくる。

 地元の「お嬢様」女子大ということで、就職率は当時ほぼ100%を誇っていた。
 先輩たちの話しを聞いても、「電話をかけただけで内定って言われた」だの、「説明会でご馳走してもらった」だの、華々しい就職活動を見聞きし、それぞれ有名企業に入社していったので、就職なんかちょろいと思っていた。

 そして、4年生になり就職活動をぼちぼち開始。就職情報誌をめくって、気になる会社に資料請求のハガキを出すところから始まった。なんて暢気な就職活動。
 しかし、スーツを新調し、会社説明会を巡る頃から状況は一変していた。
 採用枠が狭くなったらしい、今年は採用を見送るらしい・・・

 そう、後に「就職氷河期」と呼ばれる時代の幕開けだったのだ。

 7月明けには早々に内定をもらえているはずが、ぜんぜん決まらない。
 どこの会社も選考は2次、3次と進んでいてふりだしに戻れない。
 友達の顔にもはっきりと焦りが浮かびはじめた。

 学校の就職課に求人票を見に行っても、聞いたことがないような中小企業が数社。先生方も必死で、小さい会社の魅力を説いてとにかく受験をすすめた。

 紺色のスーツ、髪をひっつめ、マニキュア落とし、化粧も薄く、
 のっぺりした、たいした美人でもない無個性の女子学生として長蛇の列に並ぶ。
 「弊社を志望する理由は?」
 「御社の将来性に希望を感じ・・・」
 「学生時代にがんばったことはなんですか?」
 「美術部を新規に立ち上げ・・・」
 「あなたのセールスポイントはなんですか?」
 「そうですね、笑顔ですかね・・」

 そのあげくに「今回はご期待に添えない結果となりました。」その繰り返しだ。

 「最近の学生さんは大企業指向で、ミスマッチが・・・」などとしたり顔でしゃべる人を見ると今でもむかつく。

 受験した中小企業の採用担当者にはほんとにひどいやつがたくさんいた。普段お客や上司にされているであろう同じ仕打ちを受験者にしていた。見下した態度、暴言、こんな大人になってたまるか、こんな人間が採用担当してる会社なんか死んでも行くかと思った。悔しかった。

 友人たちも軒並み連戦連敗、あげくの果てに個人の法律事務所の事務職の面接にまで行っていた。そこでの試験が笑わせる。「掃除機をかけるとき、コンセントは上下どちらに差しますか?」 ばかにするにもほどがある。

 求人してる会社に行きたい会社がないのなら、行きたいとこに行けばいいやと破れかぶれで突撃電話をかけた。
 新卒の学生さんは採用してません、という会社も、どこも会って親切に話しを聞かせてくれた。これは意外だった。他の会社を紹介したり教えたりしてくれもした。世の中捨てたもんじゃないかもなと思ったりもした。
 おかげでその業界の内部評価がとてもよくわかった。会社説明会じゃ絶対わからないことだった。

 そして、「うちの社員は全員プロフェッショナルで、自分の給料は自分で稼いでいます。新卒の学生さんを雇って、教育しながら給料を払うつもりはありません」とはっきりと断られた広告会社にどうしても入りたいと思った。
 「先日は会社訪問ありがとう、シューカツがんばってね」と社長がハガキをくれたのを見て、手紙を書いた。

 「どんなプロフェッショナルも、さいしょはみんな素人だったはずです。」

 だから、バイトでもいいからチャンスをくれないか、ひとつ確保した内定を捨ててでも御社で働きたい、と。
 この状況下で内定を蹴るというのは、会社と大学に対する謀反に近い行為だ。そうまでしますぜという、ほぼ脅迫状だ。
 冗談で返事がきた。
 「今度、番組の収録があります。よろしかったら水着でお越しください。」
 真に受けて水着で行った。収録を手伝うこともなく、幼稚園児のような水着姿でプールに浮いて1日が終わった。ほんまに来た、アホちゃうかと社長以下あきれたらしいが、そのタイミングで経理の人が辞め、手が足りなくなって入社が叶ったのだった。

 そうしてわたしのシューカツは終わった。

 考えてみたら、なんのスキルも知識も実力もない学生が、生意気放題だった。
 そんな人間に月々20万もはらうわけだから、会社も人選びは真剣だ。
 新卒の学生を雇って、教育しながら給料を払うつもりはないというのも会社の本音だと思う。

 だけど、学生の唯一の財産は「勘違い」だ。
 こんな大人にはなりたくない、自分はこんなもんじゃない、もっとやれるはずだ、

 そんな自信は仕事をしはじめたら根こそぎつぶされるから大丈夫だ。
 「仕事のキャリアがゼロで無能でダメなわたし」との戦いはまた別の話しだ。

 シューカツで自信を失って、塩かけられた葉っぱみたいになんなよ。
 狭い採用基準の中で、あきらめるなよ。
 どんな手をつかっても、自分がいいと思うものの近くに行くんだ。
 バイトでも丁稚でもかまわない。

 そして、そういうあがきは、シューカツ終わっても一生続くのだ。

 元気のないスーツ姿の若者、人ごとじゃなく思う。
 おばさんもまだ、あがいてますから、がんばってください。
 若い分、傷の治りは、はやいので。


 

 
 

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コメント

71年組みは不運だよねえ。。。。。
私もシューカツには山ほどいいたいことがある!
今も人生のシューカツ、終わっちゃいないけど!

投稿: シリウス | 2011年2月 4日 (金) 13時22分

シリウスじょう、ご無沙汰。元気?生きてますか??
私は色んな人に助けられなんとか生きてます。

うちも71年組ですが、高卒なんで就活めっさ楽でした。
景気のいい時の建築科卒で同期もみな楽勝。後に地獄を見た。

『水着就職』、一生肴になるネタやね(笑)いや実に男前。
面白い形だけど、自分をしっかりアピールできる、とてもいい機会を貰ったんじゃないかなぁ。

『丁稚』は吹いた(笑)

投稿: Uka | 2011年2月 7日 (月) 01時00分

お!シリウス嬢。
同年代の悲哀を感じるじゃろ。うむ。
人生のシューカツはもうそろそろええじゃろ!

Uka殿
そか、その頃の高卒就職はバブルだったんよね。バブル入社→泡はじけ のほうがキビシいよな。。。地獄でしたか。。。

おう、水着審査で入社よ。どうよ。自虐ネタにしかならんわ!

投稿: sunari | 2011年2月15日 (火) 15時47分

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