I♥エンスー Vol.12 大人のおもちゃ
中国新聞 中古車情報サイト「チュレカ」(2011.3末でクローズ)に連載していたコラムのバックナンバーです。
【2008.7.29 掲載】
I♥エンスー Vol.12 大人のおもちゃ
なんとなく前回の続き。
約1500万円もする高級輸入車を新車で買った人の話でした。
ディーラーにあれこれ注文つけて買ったという。
そのくらいの車になると、シートの革はこれでステッチは何色にして、と、
ほぼオーダーメイド状態で注文できるらしい。
もう1500万円も出して、お気に入りのカスタマイズを施したわけで、
嬉しくって嬉しくって納車が待ちきれない!
のかと思いきや
「うーん、それがさ、そんなにがんがん乗りたいってわけでもないのよね」。
それってどうなのよ、とA氏に尋ねる。
「うーん、その人、もしかして欲しい車は他にあったのかもね。
たとえば、フェ(2000万以上のスーパーカー)とか。
だけど妥協してマ(その1500万のやつ)にしたんじゃないかな」。
それは500万円足りなかったから?
それもあるかもしれんけど、フェ(車界の百獣の王)なんかに乗ってる人は普通じゃないって見られるからってこともあったんじゃない?と。
しかし一方で、今や年収300万円400万円の人がフェ(車のライオン)を買う時代なんだそうだ。
ヨーロッパは本気の階級社会で、フェ(えーっとユーロで言うといくらだ?)は本物のお金持ちしか乗れない。
アメリカでも、車の保険が「もう一台買えるやん!?」というくらい高いのでやっぱりお金持ちじゃないと乗れない。
でも日本じゃ中古でローン組んで買える。保険料もそんなに高くない。
しかも市場に数が少ない上に、オーナーは丁寧に乗るし、整備もちゃんとするから車も荒れない。だから3〜5年乗っても値段が落ちない。
うまくいけばプレミアついて、諸費用だけで次の車が買えたりする。
そのくらい、「みんなの宝物」的車なんだそうだ。
ふーん。
じゃさ、そのマ(2000万に500万足らなかった車)のオーナーも、
フェ(2000万のやつ)を手にすることができてたら、
ワクワクして夢にまで見るほど嬉しかったのだろうか?
A氏の知り合いの車好きのお金持ちが、長年の念願叶ってフェ(えーと高いクルマ)をとうとう購入したのだそうだ。
さすが高級車、オーナーズクラブが充実しており、車好き(そしてお金持ち)の異業種オーナー同士の交流はとても楽しいという。
でも
「なんだ、こんなもんか」
と思ったと言う。
乗ってみて、みんなやっぱりフェ(略)だフェ(また略)だって言うけど、
まあ、こんなもんなのか、と。
なんなんでしょうね、この寂寥感。
「きーーーー!わしもぽいっと買ってま、こんなもんかゆーてみたいわ!」
とご嫉妬のみなさま、
案外憧れてる今がいちばん幸せかもよ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント