I♥エンスー Vol.5 車の運転が上手いということ
中国新聞 中古車情報サイト「チュレカ」(2011.3末でクローズ)に連載していたコラムのバックナンバーです。
【2008.4.21 掲載】
「車の運転が上手い人」って、どんなイメージだろうか。
難しいカーブも高速安定で曲がれる感じ?
車線間を右へ左へと蝶のように舞い先へ行く感じ?
かつて漠然と「きゅきゅーっとこう、速い感じ?」
などと思っていたわたしだが、
そんなイメージを覆すできごとがあった。
当時はまだ大学生で、同級生の男子などとドライブに行くと
免許取りたての怖いもの知らずな運転で、
ちょっとカッコイイところを見せようなどという邪心も拍車をかけ、もう、こっちはいつも手に汗握りしめてヒヤヒヤしていた。
そんなあるとき、年上の男性にドライブに誘われたことがあった。
スポーツカーなのに、ぜんぜんヒヤヒヤしなかった。
快適で、気持ちがよかった。しゃべるのに夢中になっていた。
と、
「あ、ごめんね」
突然謝られた。
「え?なんですか??」
「ちょっとカクンとなったでしょ、ごめんね」
カクンとなった??
ええ?そうですか??
気がつきませんでしたけど・・・
彼は、常になめらかなドライビングを信条としていた。
停まる時も、発進する時も、
シフトチェンジのショックすらもぜんぜん感じさせない。
クラッチをつなぐときに「カクン」となるのは下手だから。
エンジンをそのシフトにふさわしい回転数にしてやれば
そうとは感じさせないほどスムーズにスイッチできる。
へー!
楽しげに話しながらも、常に手足は忙しく動いて細かくシフトチェンジし、だけどオートマ以上になめらか。なんてジェントルマン。
おっと、トンネル手前で渋滞、
すみやかにシフトダウンして速度を落としつつハザードランプを点滅させる。
「なんでハザードつけるんですか?」
「後続車に知らせてあげなきゃいけないでしょ。つっこんでこられないようにね」。
へー!
そのドライブの道中は、他にもいろんな驚きがいっぱいだった。
快適なドライブを実現するのは、
正確な運転技術と思いやりだ。
運転が上手いということは、こういうことなんだと思った。
ただ速いことや、同乗者や他の車のことを考えない運転は
決して上手な運転とは言えない。
あれからずいぶん時が経った。
自分で運転することも多くなった。
時々、彼の運転を思い出して自分に問う。
「今わたし、上手な運転してる?」と。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント