「mt ex 展」に全部ある
ツイッターで同じような写真を何度も目にした。
「mt展に行ってきました」「これみてすごいでしょ」
ケータイで思わず撮ってシェアしたくなるそのmt展とはなんなのか。
あ、マスキングテープだ!
かれこれ5年くらい前、取材で行った岡山県倉敷市、昼飯時に「三宅商店」という町家喫茶にてカレーを食べた(うまかった)。そこに見た事もないかわいい紙テープがあったのだ。
KAMOI masking tape
そもそも小学生のころ骨折し、包帯をとめていた紙テープが大好きだった。
薄いブルーで、手でちぎれて、半分透けていて、上から鉛筆で字が書ける。
薬局で医療用紙テープを買っては、ノートにプリントを貼る時などに使っていたのだった。
なので好みにジャストミート。パッケージもかわいくてたくさん買って帰って友達に配った。
買ったまま未開封。物持ちいいな。このパッケージはロゴが古いんです。
そうか、mtってあのマスキングテープなのね。
そういえば最近雑貨屋さんでは必ずといっていいほどmt売ってるし、mtの本もたくさん出てるもんね。すっかり人気者だ。
そうかじゃあ「mt ex 展」行ってみようと、行ってみたのだった。
広島港宇品旅客ターミナル2階って、なんでそんなとこで?と不思議だった。
今までこういう展示会あったのかもしれないけど知らない。
市内中心部から路面電車に揺られること約30分。終点が会場の宇品旅客ターミナル。
そこに、停車中の「mt電車」発見!
電車内にこれでもかとmtが貼り巡らされた1両編成の電車。発車直前に飛び乗って撮影。
すごーい!よく広電が許してくれたなぁ。
うーんと昔、3両編成の車内を丸ごと「マライア・キャリー」電車にしたことがありました。
中吊りポスタージャックだけでなく、窓上部分は手作りで、マライアの生い立ちやキャリアのヒストリーを紹介しました。写真とか切って貼って。でも広告枠以外は触らせてもらえなかったんだよな。。。
会場に向かう道すがら、バナーは下がってるし階段はこうだし。
なんだかすごいぞ。
会場も床から天井から一面mtでした。すごいなー。
なんせ商品は紙テープ、売り場面積はそんなにいらないというか、どうしてもこじんまりしちゃうはず。
そこを「mt展」にするには。
カラフルでいろんな柄のmtの魅力を全開にしてしまおう!というパワーを感じました。
しかけもいろいろ。
ガチャガチャがあり、「アタリ」が出たらレアなmtプレゼントとか。
芳名帳ももちろん、各自自由にmtでデコできる。
ただ見るだけじゃなく、買うだけでもなく、こうして会場の一部に自分の「デコテク」で参加できるのも、mt好きにはうれしいことなんでしょう。
私も息子とやってみた。いろんなmtが使い放題、貼ってみるとテープに巻いてある状態と違うので、思わぬ美しさを発見することができる。で、欲しくなる(まんまと)
そして会場には「広島限定」デザインが登場。チンチン電車柄とか(完売でした)
スタッフの方に熱心にどれが広島限定か尋ねて買っている人がたくさんいました。
会場から外を見ると、テラスから続くmtストライプ!
海と空に、美しく映えます。
見てるといくつも欲しくなるのよね。あれこれ選んでレジに。
前の人は7千円近く大人買いしてました。
ん?スタッフの方が着てるシャツ、前立てにmtが貼ってある?
「あ、これ貼ってあるように見えるデザインなんです。スタッフみんなおそろいなんですよ。」
よく見るとmtのような布テープが縫い付けてありました。かわいい・・・
あのー、どうしてここで開催されたんですか?
「・・・いろいろありまして・・・。街中でやらないのがmtらしいというか(笑)」
外のストライプ、あれ人力ですか?
「はい!みんなで貼ったんですよー。この前は台風でもうたいへんでした。何度も貼り直して」
にこにこ答えるスタッフの方々は、ほんとに楽しそうでした。
外に出てみると、大迫力。
こーれは写メしたくなるって。すごいです。50m走できちゃうよ。
あまりに美しくて、アイスなめなめしばらく眺めて帰りました。
mt、ほんとかわいい。美しい。
これがあれば、自分の生活もこんな風にカラフルになるんじゃないかと、わくわくできた。
いい企画展だなぁ。
これ、誰がディレクションしてるんだろう。
帰宅して調べてみると、こういうページがありました。
集英社文庫「ナツイチ」キャンペーンやNHK「龍馬伝」などを手がけ、2005年JAGDA新人賞を受賞された居山浩二氏が手がけてるんですね。
広島に先立って京都で行われた「mt ex 展」は 世界三大広告賞の一つであるOne Showに入賞、第45回SDA賞のサインデザイン最優秀賞及び招待審査員賞を受賞。すごいですね。
そもそも、カモ井加工紙といえばうちの親世代は「ああ、ハエ取り紙ね」と言う。
「カモ井のハイトリ紙」からスタートし、その粘着商品の研究開発で高い技術を誇っていた。
それが今のmtになる「誕生ストーリー」がこちら。
「私たちはマスキングテープが大好きで、マスキングテープのミニ本を作りました。第二弾も考えているので、工場を見学させてほしい」という一通のメールが届く。送られてきたそのミニ本は、マスキングテープ=作業用品という概念をとりはらうすてきなデザインで、封筒のコラージュも初めて見る使い方だった。毎日取り扱っている社員の方がびっくりしたのだそうです。
建築や塗装作業の現場で便利だと愛されていたマスキングテープは、ある「ファン」によるキュレーションでまるで新しい価値観を持った。
そこに新しい価値を見いだす人の存在=キュレーターが今のmtのスターターだった。
そして、友達同士焼き増しした写真を渡したり、お菓子をあげたり、手紙を書いたり、そういう場面でちょっとかわいくラッピングするのが好きな人たちがmtを見つけ好きになり、いろんなデザインのmtを待望し後押しする力になっていったのでしょう。
ディレクションは居山さんに引き継がれてのびのび広がり、スタッフの方々も面白がってよろこんで、こうして床に天井にテープを貼りまくっているのでしょう。
その、面白い感じ、大好きな感じ、会場中で感じました。
自分が見つけた価値を育てたい、人に知らせたい、そうやって伝播していくものがいちばん強い。
コミュニケーションに必要なものが全部ここにあるなと思った「mt ex 展」でした。
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