オノ・ヨーコ レクチャー&パフォーマンス「希望の路」
2011.7.31(日)18:30〜
オノ・ヨーコ レクチャー&パフォーマンス「希望の路」
アステールプラザ中ホールにて
(当初広島市現代美術館エントランスホールで実施予定だったが、応募多数のため急遽会場変更)
応募し当選したので行ってきました。
入り口で配布された当日の朝日新聞には特集記事が。
会場は満員、老若男女がオノ・ヨーコ氏の登壇を待つ。
音もなく真っ暗なステージ
白いヴェールにくるまれたものが、それを長く引きずりながら這うようにステージ中央へ。
布の中から、懐中電灯をともす。
会場を照らす。光の筋がまっすぐのびて闇を探る。
布をひらりとめくってオノ・ヨーコ氏登場。
それからいくつかのパフォーマンスを上演。
78歳という年齢が老いではなく深く強い力として胸に迫る。
演奏したギターのフレーズをサンプリングしリフレイン、その音楽に合わせてステージを延々と歩き続ける彼女の背景に、まだ若かった頃のジョンとヨーコと幼いショーンの写真が現れた。
幸せだった家族の肖像がゆっくりと透きとおり、森の写真に変わっていった。
その前をただ歩き、時に苦悩の表情を浮かべ、歩き続ける。
泣けてしかたなかった。
パフォーマンスの最後は、大きな白いボードに「夢」と墨書き。
サインペンでちいさくサインを記して、彼女はにっこりと笑った。
「これは広島市現代美術館に差し上げます。そしてそこでこのミニチュアみたいなのを作って売っていただいて、その売り上げを“レインボーハウス”に寄付したいと思います。レインボーハウスというのは、仙台に今できつつある東日本大震災で親を亡くした子供たちのための施設です。とてもいい施設だと思うのでそこに寄付します。」
その「夢」の書の前に椅子を置き、そこからはレクチャーだった。
会場のみなさんからの質問にお答えします。質問のある方は前に出てこのマイクの前に並んでください。
ざわざわざわ・・・・
勇気をふりしぼった人たちがぽつぽつとマイクに向かって話しかける。
以下聞きながらとったメモから書き起こしました。
ヨーコさんの「シェアしたい」という思いに揺さぶられたからです。
実際はもっといきいきと、チャーミングに受け答えをされていました。
◎希望の路を今こそみんなで歩かなくてはいけない。生きたければ、それしかない。
希望の路を歩かないで黙っていると、沈んでしまうから。
◎愛は必ず夢を持ってる。夢は愛の倍音だと思っています。
(オノ・ヨーコ展で見た展示のあのフラッシュは何を意味し世界にどう伝えたのか)
◎原爆から今までの間、焼け野原をほっとかず、ほんとに美しい都市をつくっちゃった。世界のイジメに負けないで黙々とつくったのです。広島をそうしたということは、日本は世界一の国になった。世界は広島を見てすごいなと思う。広島は犠牲になった都市だけど、あなたたちはもう犠牲者じゃない。これをつくったんだぞと日本を代表して言っていい。私たちは解決したのだと。世界は「Japaneseはすぐに復興する。すごい」と見ている。(東日本の震災直後に)黙々と道を直し、前よりも立派な道をすぐにつくって直した。改良したり再建していくのは、偉いというか、賢いです。
かつて世界中がわたしをいじめていました。いじめのバイブレーションがしょっちゅう来てた。あるとき、それを嫌だと思うのもうれしいと思うのも私の勝手だと気づいたの。それをこうして変えてね、ポジティブなパワーに変えて世界におくった。それができたことが私を助けた。いじめがなんだ、と思えば、いじめているほうが沈む。力の性質を変えればいいのです。じゃあそれは一体どうやるのか。それは、あなたの考え方次第だと思いますね。
(ヨーコさんの原点はなんですか?)
◎原点なんてない。それはわたしの一生。
世界を平和にって、よし俺がやってやろう、ではなく、まずはあなたのまわりを平和にすることです。あ、最近ママに電話してないな、電話しようとか、1日に3つくらいいいことをするとかね。そういういいことをすると10倍になってかえってきます。そうすることが世界を平和にしていく。他の人のところをよくしてあげようなんて思わなくていい。まずは自分の世界をよくすればいい。
(ヨーコさんはツイッターでよくお部屋のことをつぶやいてらっしゃいますが、理想の部屋はどういう部屋ですか?)
◎理想の部屋は地球です。
わたしたちが美しくすれば楽しくなる。
(もう大ファンでこうしてお話ができるなんて気絶しそうです。オノさんの表現を見て影響を受けて、わたしも作品を作っています。)
◎ありがとう。
ニュートンはリンゴを見て引力を見つけましたね。わたしはあなたの視野に偶然いた人で、あなたがすごいことをしているのです。あなた自身のことを尊敬してください。いくら一生懸命やっても誰も見てくれない、評価されないと言う人がいます。でもわたしたちがしていることはすべて世界に通じています。世の中には戦争につながるwar industryとpeace industryがある。あなたはpeace industryの一人なんだからどうか誇りをもってください。
◎希望を前向きに発信すれば世界につながります。
ネガティブだと自分が救われない。
広島はすごいひどいことをされても、他の国にもやってやろうなんて思わなかった。
NO MORE HIROSHIMA 他にもうこんな思いをさせたくないと。だから世界を救ったの。
(今日の当選ハガキを落としてしまい、入り口で呼びかけていたら欠席した友人のかわりにと一緒に入場してくれた方にこの場でお礼が言いたい!)
◎いい話ね。
「今日、12人殺した」とか、そういう話ばっかりで、新聞にはこういういい話って 載ってないでしょう。こういう小さな美しい話をどんどんやっていきましょう。
(若い頃と今とで変わったことは?)
◎70歳の時にショーンがお祝いにコンサートをしようといったの。いいわよもうそんなと思ったけど、やってみたら楽しかったの。今78ですけどね、150くらいまでいくんじゃないかと思えるの。今と昔では、歳に対する理解が変わりましたね。歳に対する理解は、考え方で変わりますね。
(未来はどうなりますか?)
◎わたし、未来のことまで考えられません。
毎日きちんとやっていくしかないんじゃないですか。
(広島への思いを)分かち合いたいと思います。
あなたたちが苦労してくれたおかげでわたしたちは希望の路に入ることができた、ありがとう、という思いを分かち合いたいと思ってここに来ました。
(第8回ヒロシマ賞を受賞して)アウォードのスピーチ1分間でお願いしますって言われたけど20分もしゃべってしまった。そのくらいそういう思いが強いですね。
(英語での質問:日本も他国に悪い行いをしたのに謝罪しなくてもいいのか?)
◎日本人だって悪いことをした。世界中どの国も残虐行為をしました。しかし謝るといって、誰に謝るのでしょう。忘れずに覚えていて、しかし影響されないで。悪かったから、今度は良くしよう、それが世界がよくなっていくことです。昔あんまり良くしなかった彼女が亡くなって、罪の意識から次の彼女には彼女以上に良くすることをためらう、そうじゃなくて、昔のひとを良くできなかった分、今の人に良くしてあげればいいのです。
(3/11以降、展示内容が変わったと聞きました。どう変わったのですか?)
◎まずはタイトルを変えました。
NO MORE HIROSHIMA, NO MORE NAGASAKI ほんとうはそうなのに、長崎のことはあんまり知られていない。長崎の人は良く思いませんね。ですから、「長崎への路」というタイトルにして、ドアの作品があるので、そこを通って行くイメージにしていました。わたしたちひとりひとりの人生は、いろんなドアを通って生きながらえてきました。the way of survive。
しかし、3月11日、わたしはニューヨークにいましたが、広島も長崎も大変な目に遭って、今度は福島もか、と。これは考えなくてはいけない。そのときわたしは「悔しいー!」と思った。それは英語には訳せない思いです。それで考えたんだけれども、日本はこうして何度もひどい目に遭って、呪われた民族なのかと思う人もいるでしょう、でもちがうの、「選ばれた民族」なの。すごいひどいことをかぶっても、それを必ずすごくよい方にする、世界はそれを見て、すごいな、自分たちもそうなりたいと思う。日本は世界のリーダーシップをとれる。そういうすごいことになるぞ、と思って「希望の路」だ、としました。
(3/11以来呆然とする感じが続いています。衝撃的な思いがありました。)
◎新しいことを知るとね、ああわたし、これを知らないで死ぬところだったんだと思うの。だから、わたしの知っていることをどんどん出して、おもしろいことをシェアしたい。
最近出会ったおもしろいこと、これ、ドリームパワーのライブでもしゃべったから知ってる人は耳をふさいでね。
ある二人の科学者が波の研究をしていました。波打ち際で小さな子供が石を投げる、ぽちゃぽちゃする、それがパーーーッと影響して世界中の海のかたちが変わるの。
よく、僕はお金持ちでも有名でもないから平和運動なんかできません、って言う人がいるんだけど、でも、ただ生きて、小石を落とすだけで海につながってる。あなたが考えていることはぜーんぶ世界につながっているんですよ。だから気をつけて。大きな岩を水に落とさなくても、世界に影響を与えないわけではないんです。ですから、これからわたしたちは「小石族」になりましょう。
最後に、
◎あなたがたは平和の家族、とってもいいバイブレーションだったわ。
ありがとう。
■第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展
「希望の路」YOKO ONO 2011
広島市現代美術館で10月16日(日)まで開催。
小中学生は無料で、キッズガイドの配布もあるそうです。
わたしも息子をつれて見に行きたいと思っています。
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