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2011年9月 6日 (火)

I♥エンスー vol.55 見た目じゃないのよタイヤは

中国新聞 中古車情報サイト「チュレカ」(2011.3末でクローズ)に連載していたコラムのバックナンバーです。

Ensu

(2010.10.14 掲載)

 I♥エンスー vol.55 見た目じゃないのよタイヤは


  ある日愛車はなみ号に乗り込もうとしたら、なんだかちょっぴり首をかしげている。
 あら、どうしたの?と聞いてみても答えない。

 見れば、左側後輪がへちゃげている。パンクだー。

 そーーっと運転してディーラーに持ち込むと
 「釘がナナメに刺さってます。交換した方がいいでしょう。」
 ということで他3本と同じタイヤが届くまでスペアタイヤで過ごすことになった。

 しかしタイヤ1本交換して2万円近くよ、アイタタタ

 と兄A氏に話すと、

 「うーん、タイヤ高いよねぇ。
  最近、アジアンタイヤ履いてるのよ。安いよ。」

 アジアンタイヤ? なんだそれ。

 「まあ日本もアジアなんだけど。
  台湾製とか、韓国製のタイヤなんだけどね。
  国産のそこそこいいタイヤが1セット8〜9万円として、だいたいその半額で買えてしまうくらい、すっごく安い。」

 安いっつってもさ、安かろう悪かろうじゃだめなんじゃない?
 ほら、「タイヤは命を乗せて走ってる」って言うじゃない。

 「そうなんだよね。
  アジアンタイヤがぽつぽつ話題になりはじめて、気になってたんだけど、そんなに評判悪くないんだよね。
 最初の9分山8分山まではいいけどそっから先すぐにダメになるとか、半年で摩耗したとか、そんなことないのかなと思ってたんだけど。  安くても半年で交換じゃ意味ないもんね。
 そうこうしてたら、[国産ライトウエイトスポーツカー]のタイヤそろそろ交換する時期になって。試しに履いてみたんだよ。」

 どうだった?

 「悪くない。
  それどころか、こないだのジムカーナで優勝した車も台湾製のタイヤ履いてたんだ。国産の高いタイヤ履いてたオーナーたちパニックだったよ。」

 ほっほー。

 「確かにね、見た目は悪いのよ。形成の時にできるゴムのヒゲみたいなのはカットしてないし、なんか異様にゴムの匂いがするし、サイドウォールのデザインも20年くらい昔のかんじで安っぽいというか・・・・・
 でも履いてもう半年くらい経つけど、トレッドはキレイに磨耗してるし、性能低下も最小限。まったく問題はなかった。っていうかコストパフォーマンスを考慮すると素晴らしいといえる。」

 見た目が若干悪くても黒いからよくわかんないよね。
 安くていいなら、いいよねぇ。

 「うん。
 今や時代はエコだから、走る曲がる止まるをクリアした先のタイヤに求められる性能は燃費なんだよね。燃費がよくて、地球にやさしいタイヤ。
 日本のタイヤも今やヨーロッパのタイヤメーカーとの戦いだからね。世界一流の勝負どころは、そういうところにある。
 今までは“グリップあげるならこれ”って使っていた添加剤が、エコじゃないからって使えなくなったり、環境にやさしいコストが高い添加剤を使わなくちゃいけなくなったり。
 一方、この台湾や韓国のタイヤメーカーは今いろんなモータースポーツにスポンサードしたりして、レース車に勝負をかけてるんだ。かつての日本勢みたいにね。
 だから“この値段でこのグリップ力!”ってびっくりする。」

 なるほどー。

 「だからモータースポーツする人は、台湾製とか韓国製のタイヤいいんじゃないかと思うんだよ。
 ただね・・・」

 ん?

 「仕事の会合なんかで駐車場に停まった関係者の高級車の中で、ひときわ異彩を放つボクの車なんだけど、“Aさん大丈夫かしら、とうとうタイヤまで・・・”
 って思われるんじゃないかと思ってねぇ」と遠い目。

 うーむ。

 まあ、人もタイヤも見た目じゃないってことで・・・

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