I♥エンスー vol.57 やがてみんなそこへたどりつく
中国新聞 中古車情報サイト「チュレカ」(2011.3末でクローズ)に連載していたコラムのバックナンバーです。
(2010.12.3 掲載)
I♥エンスー vol.57 やがてみんなそこへたどりつく
自転車で打ち合わせに向かっている昼下がりのことであった。
ここんとこ、街乗り自転車がブームだとかで、老いも若きもオシャレな自転車で颯爽と街中を駆け抜けておられる。
その時も、ピストバイクって言うんですかね、ツールドフランス的な細身のいかにも速そうな自転車が音もなく抜き去って行った。
男性だがぴかっとするスパッツ(とは言わんのか)を履き、バックパックもかっこよく、非常にスタイリッシュである。
こちらは子載せ機能満載の古ママチャリですからね、いくら急いでこいだって知れてる。どうぞどうぞと端に寄って速いチャリに抜いてもらう。
しかし、だ。
交差点の信号待ちのたんびに、そのピストバイク氏が停まっておるのだ。
青信号になると、初速のはやいママチャリがしゅるしゅると先にスタートを切り、あとからそのピストバイク氏が抜き去って行く、というのを数回繰り返し、広島市中のストレートな幹線道路を仲良く南下して行った。もうだんだんピストバイク氏に抜かされるのも悪くて、以後氏の数メートル後ろで信号待ちするようにした。
そうやって抜きつ抜かれつしながら思い出したのが、高速バスの話。
今、週に数回西条に通っている。
バスセンターから出ている高速バスでだいたい50分くらいかかる。
バスは高速だってぶっ飛ばさない。おまけに途中で住宅街のバス停をまわって寄り道していくので、当然直行する自家用車の方が早く到着する、
はずなのに、案外差がないのであった。ほんと僅差。
かねてから不思議だったのよね。
そういえば、生き急ぐように車線変更を繰り返し、1台でも抜いて前に行こうとする車も、結局同じ信号でとなりに停まってたりするもんな。
高速道路でも、みんな我先に追い越し車線に集中すると、たちまち渋滞のモトになるらしい。
なんというか、そういうもんなのかもなぁ。
人それぞれ、才能のトルクは違う。
若くしてトップスピードで駆け抜ける人はまぶしい。
自分だって踏みつづければもっと速くなると信じられた季節も過ぎ、
そろそろいたわりながら走らなくてはいけないのだと気がつく。
まわりの流れにあわせて走ることが、全体の交通をスムーズにし、みんなを安全にはやくそこにたどりつかせる。
この道は長い。誰に勝つというのだ。
口笛を吹きながら、走ってゆこう。
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