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2012年4月17日 (火)

絵の前で「話す温泉♨」

 中内共路さん個展「夜間逃避行」GALLERY SORAにて
 4月16日(月)13:00〜 夕暮れまで 「話す温泉♨」茶を淹れさせていただきました。

Img_3899

 この後ろ姿(左)が中内さん。

 ギャラリーで、絵の前で、茶を淹れさせていただくのは初めてでした。

 中内さんの、個展案内絵はがきをじっと眺めて、イメージを膨らませます。


Img_3541

 この絵はがきの彼女を見ながら、いろんなことを想いました。

 いつかの自分みたいだな
 ここにもうあるのに、どこにもないと思っていた
 たぶん誰の中にもこんな彼女がいるんだろうな

 少女というのは無垢で、一途で、かたくなで、残酷で
 一瞬で過ぎて行ってしまう季節だから刹那くて
 その真中にいる時は早く過ぎてしまえばいいのにと息を殺しているのに
 なくしたとたん、なつかしくまぶしい。

 そんなお茶を淹れたい。


 今回ご用意したお茶は二種類。
 「安渓鉄観音 感徳特級」
 「岩茶 夜来香」

 安渓鉄観音はとても青々しくて爽やかで華やかな味香り。

 そこに用意したお菓子は、ピエール・エルメのパート・ド・フリュイ(果汁のゼリー)「イスパハン」。
 薔薇とライチとフランボワーズがぎゅっと濃縮したゼリー。

 このゼリーは小さいけれどひとくちで頬張ると大変なことになるくらい濃厚。
 そこにかーんとぬけるような鉄観音の香りが高音域に重奏。
 それはもうくらっくら。


 その次は岩茶。夜と名のつく茶。

 「・・・ほうじ茶みたい」

 そう、先にお出ししたネコパンチみたいな強烈な味覚体験のあとでは、岩茶は大変地味である。
 焙煎の高さがほうじ茶を思わせる。

 でも、2煎、3煎と飲み進むと、
 あら?
 甘い?
 ああ
 いい香り


 若さを失い、年を取るということは、地味なことかもしれない。
 シミもシワも増えるのに、脳のシワは溶けていく。
 たるみ、ゆるみ、衰えて行く。

 でもそれは、成熟でもある。
 煎を重ねると喉が甘く香り、火照り、体中に気が巡る。

 切り立った赤い岩肌に、張り付くようにして生えている岩茶の、
 厳しい自然に耐えて迎えた芽吹きに満ちた力。

 そういう年の取り方をしたい。そう願って。


 たくさんご来場いただきありがとうございました。
 十分おくつろぎ入湯いただけましたでしょうか。
 美しい絵の前でお茶を淹れる、贅沢な経験をさせていただきました。
 ありがとうございました。

 中国茶と言えば、チャイナ服着て、二胡の音色が流れ・・・というイメージがあると思います。
 素っ気ないしつらいを見て、拍子抜けされたかもしれません。

 まあ、屋号も“素也 スナリ”ですからね。

 わたしはお茶が好きで、そのお茶がどこで採れたか、どう作られたか、それによってどう味と香りが違うのかに興味がありますが、それがたまたま中国だったり台湾だったり日本だったりたまに印度だったりするわけで、「中国茶」というジャンルが好きなわけではありません。

 もちろん、その茶が飲まれてきた背景には歴史があったり、風俗が育ててきたりしてるわけですから、国や地域の違いや文化を知ることは大事だし楽しいです。

 チャイナ服着るのも楽しいんですけどね。
 たまに浴衣着るみたいな感覚でね。

 でも、自らカテゴリーの枠にはまって行くのはいやなんです。

 テレビで育ったわたしたちは、「わかりやすいものに瞬時に反応する」ように訓練されてきました。 はい今笑うところ!これすごいでしょ!ここで泣くところ!
 グルメリポーターは頬張って3秒で「あま〜い」か「とけてなくなった〜」と言います。
 でも、ほんとはそんなに簡単なものばかりじゃない。
 対面して、なんと言っていいかわからないこともある。
 なんなんだこれは、と考え込んでしまうこともある。

 絵だって、「どう?」と聞かれると即答しないと悪いような気がする、本当は1ヶ月後にやけに印象に残ってたんだなと思うかもしれないのに、そんな話もしました。

 お茶だって、飲んで「・・・おいし〜い」と言わなくていいです。
 どう?とはお尋ねしません。
 
 わからないものを、わかったふりせず、わからないまま向き合う時間もお茶の時間。


 などと思いめぐらす今の時間は「夜間逃避行」。

 中内さんの個展、4月22日(日)まで開催されています。ぜひご覧ください。
 
 

 
 

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