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2012年6月26日 (火)

準備、熟成、そして素也

 先週金曜はNHKカルチャーセンター中国茶教室、
 土曜は広島大学理学研究科サイエンスカフェでした。

 どちらも盛況でみなさん楽しまれたようでよかったです♪

 などと書いておけば講師としてあるいはファシリテーターとしてそこそこ仕事をしたんだなとおもわれるかもしれない。商売的には「いかに上手にできたか」自分のスキルをアピールすべきところだ。

 しかし今回、その連続する2つを、真逆の原因で失敗したと思う。
 ほんとに、足して2で割ればちょうどよかった。
 とても大事なことなので反省の過程を書いておく。
 

 まずは中国茶教室。
 今回はレギュラーの生徒さんに加え、単発「一日講座」のお申し込みの方々が参加された。

 レギュラーの生徒さんは少なくとも半年6回はお目にかかる機会があるので、質問や要望も伺えるしいろんな話ができる。
 しかし一日講座の方とはまさに一期一会。ちょっと気負う。

 旨い茶を淹れて飲みながら、「中国茶ってこんなんですよ」という概論的な話をしようと思った。
 中国茶といえば何が思いかびますか?サントリー、鉄観音、ジャスミン茶、小さい急須に上から湯をかけて、細長い器を使う工夫茶とか、茶藝とか・・・
 そういう既知のイメージの種明かしというか、「実はいわゆる烏龍茶って、中国で作られてるお茶の15%くらいのもんなんですよ」とか、「中国人の80%は緑茶飲んでるんですよ」とか、そういう「へー」話をいろいろ準備していった。
 レジュメを作ろうと本をひもとくと、いつものように謎が謎を呼んで、中国の歴史の山奥に迷い込んでいった。知識が扉を開いていく快感に酔った。

 それがまずかったね。
 知った新鮮な興味をレジュメに盛り込みすぎた。
 
 もちろん、「へー」はたくさんいただいた。
 知らなかったわーという声もあがり、爆笑も起こった。

 最後のお茶をまわしていると、「もう飲むのあきたわね」という声が聞こえた。
 1種類につき3、4回、3種類目のお茶だった。
 煎茶ならせいぜい3煎、コーヒー紅茶も2杯が限度、夜眠れなくなる。
 茶杯が小さいとはいえ、お腹たぷたぷの方もいらっしゃったかもしれない。
 (レギュラーの生徒さん方は異例の茶飲みで、何杯入れてもどんとこいなのだが)

 ちょっと流れをかえようと、質問タイムにした。

 「あのー、いい急須の選び方ってあるんでしょうか?」
 え、いい急須?
 「ええ、台湾に旅行に行ったとき、ガイドさんにいろいろ聞いて、急須を買って帰ったんです。でも、それ、口からお茶がよぼうんです。これはどうしたらいいんでしょう。」

 口からお茶がよぼっても、中国茶はとにかくお湯をざばざば使うので、茶盤や茶船をつかってうけてやれば問題ないということを答えて、いい急須の見分け方みたいなポイントを説明した。

 他にも2、3質問に答えて、時間となった。

 終了、片付け、帰宅して、やっと気がついたことがあった。

 「茶壺の口から茶がよぼう」状況自体がおかしい。

 醤油差しは、よぼうと本当に不快だ。ぴっとキレのよい醤油差しがいいと誰だって思う。
 中にまだ液体があるものを、注ぐのをやめた時に「よぼう」。
 中国茶も煎茶も紅茶も、そういう状況は生まれない。
 急須に葉を量り入れ、湯を注ぎ、時間を計り、ころあいを見て抽出する。
 そのとき、急須の口を途中であげることはしない。
 最後の1滴まで注ぎきる。

 その人は、途中で注ぐのをやめていたのだ。

 正しいアドバイスは、「とにかく一気に最後まで注ぎきるべし」であった。
 今頃気がついても遅い。

 聞いたことに、知識の中からさっと回答を差し出すと間違う。
 一度、「それはどういう状況なのか」
 うけとめて想像して考えて、本当の問題を見つけて、解決しなくてはならなかった。

 さらには、質問で生徒さんたちのニーズがちょっと知れた。
 「旅行先で買った茶道具の使い方がわからない」
 「お茶をもらったが美味しく入らない」
 「どこでお茶を買えばいいのかわからない」
 解決すべき問題はもっと具体的で身近なものだった。むー。
 緑茶がいつどうやって青茶になったのかなんか、相当マニアックな興味だよな。

 そういうことを、はじめに感じ取らないといけなかった。

 まさに落語だ。

 落語家は、時節柄や呼ばれた場所柄から、いくつかやる演目を用意しておきながら、決めずに高座にあがるんだそうだ。
 そこでお客の顔を見、枕を話し、その反応を見てネタを決めるんだそうだ。

 今日はこのネタをやるぞと決めてかかるのは演者のエゴでしかないのだった。
 
 知りすぎて、準備しすぎて、そのネタをもったいないから使いたがりすぎて、失敗だった。



 なので、翌日のサイエンスカフェは丸腰で臨んだ。

 前回のサイエンスカフェは異例で、2時間に6名の科学者がリレーで話しをした。
 打ち合わせも綿密に繰り返し、決め決めで臨んだ。
 それが裏目に出て、わたしは新鮮な視点で切り込んでいけなかった。
 (そもそも突っ込んだりボケたりする寸分の時間的余裕もなかったし)

 時間通りにうまく仕切る司会なら、もっと若くてべっぴんな司会者がゴマンといる。
 わたしの存在理由は、瞬時に「それはわからない、どういう意味?」と切り込み、
 「なるほど、例えるならこういうこと?」とわかりやすく翻訳して、科学者の見ている世界を来場者に感じてもらう媒介になることだ。そこしかない。

 知りすぎて臨むとその「どちて力」がうまく発揮できないと感じていたので、今回は打ち合わせもほぼ挨拶程度、先生の用意したパワポデータは最後までシークレット、すべてぶっつけ本番で臨んだ。

 もちろん、関連書籍は手にしていた。
 「Shapes 自然が創り出す美しいパターン」などという分厚い本も買ってみた。
 読んだが、翻訳文の独特な文法でさっぱり頭に入らない。意味がとれない。
 「む、いたしかたない。今回はすっぽんぽんで臨むべし」
 大胆すぎる決意である。

 案の定、サイエンスカフェの先生の話し後半最後はさっぱり理解できず。
 ファシリテーターが素で理解不能って、どんなサイエンスカフェだよ。
 前半は新鮮に疑問がむくむく湧いたので、切り込んだりしてみたけど手応えがいまいちだった。


 雨の日曜、疲弊して反すうしてさらに落ち込んでごろごろした。

 がちがちに準備しすぎて失敗し、
 知らなさすぎて失敗した。

 準備は日頃にしておくものだ。準備しすぎてしすぎることはない。
 知識は多くて邪魔ではない。
 
 でも大事なのは、「それはそれとして」 はなれること。
 わくわくと執着しない
 ほったらかす
 その間に、自然と整理整頓されて熟成される。そこは自分を信じること。

 で、当日はまっさらな素で臨むことだ。
 先入観や気負いは感覚を曇らせる。
 お客さんの思いを感じる。
 受け止めて考えて
 瞬間的に入ってきたことを、
 ストックからぽーんと出す。
 
 そこの精度を高めたい。
 どうしたらいいと思う?とオットになんとなく話すと、
 「数。」
 と言った。

 本番が最大の学びかぁ。
 次回サイエンスカフェは1ヶ月後。
 準備、熟成、そして素也で臨みます。

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コメント

旦那さんに一票。
えらそうに聞こえたら不本意なんじゃけど(ここ大事!しっかり伝えたいのです)、「場数」かな?
いや、ずばり「場数」でしょう。
親戚に落語家がいますが、つい最近真打になるまでどれだけの「場数」を踏まなければならなかったことか…。色々な噂を聞く限り、真打になった今も演目をまくらの反応で変えられているようにも思えないです…。ははは。この話、聞かせてあげたい位ですが…。あっ、話ソレ気味。

それと、十分ご承知とは思いますが、一応。
質問に対する答え方。
余裕(心の余裕、時間の余裕等々)があったら、タイミングを見て何度か相手の様子をうかがって色々確認してあげるといいよね。
この質問ってこういうことに関する質問てことでいいですか?…それはそうと、それに似た話でこんなこともあるんです、面白でしょ。話それちゃった?…ところで、こんな感じで答えになってましたか?って感じで。
こういうのはテクニックだったりするかも。
そうね、こういうのがその場ですらっとでるにはそれこそ「場数」がいるんじゃろうけど…。
あっ、ちなみにわしも、えらそうに書いていますが、絶好調の時しかこういうのはすらすら出てこん…。出来てる時はどえらく気持ちいいけどね。

単発講座。
情報として伝わるのはほんの少しの知識…。
あと、伝わるとしたら講師のお題目に対する熱意。
私の経験から考えると、後々まで残るのは講師の熱意。

こうやってちゃんと物事が伝わっているかどうかまでしっかり分析してくれてる熱意あふれる講師ですもん。
伝えるべきものはしっかりと伝わったと思いますよ。

投稿: おさまる | 2012年6月27日 (水) 22時10分

おさまるさま

( T T ) ありがとうございますぅ。

こうして「先生のありかた」を教えてくれる先生はなかなかいらっしゃらない。ほんとにありがとうございます。

そうそう、質問の答え方、ほんとにそうだと思います。
質問者も正確に聞きたいことを言葉にできてるわけじゃないんですよね。ほんとに知りたいのはここ?こっち?とひも解くというか、さぐっていろいろ答えを渡さないと当たらないというか。
「心の余裕、時間の余裕等々」これ大事ですねー。

落語家の親戚!またお話伺いたいです。

数を「こなす」んでなく、一期一会、がんばります。
熱意!そこだけは失わないように!
ありがとうございます〜。

投稿: スナリ | 2012年6月28日 (木) 16時48分

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