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2012年7月22日 (日)

「毛のない生活」トークショウ

 廣文館(@kobunkan)さんのツイートで、『毛のない生活』(ミシマ社)の発刊を記念し著者の山口ミルコさん、担当編集社の三島邦弘さん(ミシマ社代表)をお招きして「編集者として闘う『毛のない生活』ができるまで」トークショー&サイン会が開催されることを知った。ので、今日行ってきました。

 「寺子屋ミシマ社」に参加して以来のミシマ社ファンなので、見に行かないでか。


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 お二人も絶賛の似顔絵パネルが。

 こういう、書店員さんの情熱が、いやこの情熱はきっとこの本を生み出された編集者や著者の熱で、それが書店員さんに響いてこういうパネルになり、トークショウ開催に至ったのだと思う。情熱の連鎖。それだけが人を動かすのね。


 乳がんという人生最大の苦難を闘った「毛のない生活」の著者・山口ミルコさんはとてもお綺麗な方でした。
 お二方とも明るく軽妙に話しを運ばれて、仕事ができる方ってのはトークも切れ味いいんだねと。

 この本ができるまでを、編集者と元編集者である著者が語るその内容は愛に満ちていた。

 ・作品を書くというのは地下鉱脈にもぐっていくような行為、プロはそこから言葉を採って帰って来られる人、編集者は、「ここに帰ってきてください」という場所を示す人(山口氏)

 ・宮島に行く電車の中で安田登さんの「異界を旅する能 ワキという存在 」という本を読んだが、そこに“ワキというのは、「なにもしない」を全身全霊でやっている、その存在があるからシテは初めて語ることができる”というようなことが書いてあった。編集者というのはワキのような存在ではないか。編集者と作家、それが表裏一体となるから魅力的な本が産まれる。紙には表と裏がある、しかし電子書籍には表しかない。それを発見して電車で叫びたくなった(三島氏)

 ・病気にもなりたくないし、災害にも遭いたくはないのですが・・・どうしても経験してしまうことがあるとして、経験から逃げると、経験が追いかけてくるというか・・・ある時期、向き合わないといけないものなんだなあと(山口氏)

 ・(影響を受けた仕事は?)五木寛之さんとのお仕事は自分の考え方に影響が大きかったと思う。末端を大切にする、ということとか。身体の中心・お腹が大事だったら、末端を大事にしなくてはいけない。それはたとえば都市が栄えるには地方がいきいきしていないといけないとか、そういうことにつながっている気がする(山口氏)

 明るく語っていた山口さんでしたが、来場者からの病の体験についての質問に真剣に答えられる際には、これまでの自分の経験の中から答えをつかみ出す痛み、そしてそれを手渡そうとする思いをひしひしと感じました。
 熱心にメモをとっていた隣のおねえさんは泣いていた、つられてちょっと涙。

 かつて、同じ病を患い克服した「先輩」がとても美しくしなやかな方だった、その存在だけで勇気づけられたと語っておられました。ご自身もまたそのようでありたいと思われるのでしょう。

 「自分は、強いとは思いませんね・・・
  でも、できることは全部しようと。
  まず本を読みました。翻訳されてないものも読みました。
  そうやって自分を忙しくした。
  ・・・死なないようにしたほうがいいと思うんですよ、できるかぎり。」

 最後にメッセージとして
 「みんなもっと自分の思いをしゃべりましょう。文章が書ける人は書けばいいし、そうじゃない人は話せばいい。もっと自分はこう考えてるんだ、ということをうるさいくらいにしゃべった方がいい。外国ではパブなんかでうるさいくらいにしゃべってます。日本人ももっと、しゃべりましょう。」(山口氏)
 「そうですね、言葉は身体ですから、言葉を発すれば身体性も高まります」(三島氏)

 励まされます。よし、しゃべろうみんな。

 最後に本にサインしていただきました。
 「お名前は?紫織さん?きれいなお名前ね〜 なんのお仕事されてるの?」
 するするーっと構えず話される言葉が、心をぱかーっと開くような。
 なんというか、アメノウズメ的というか、そういう才能っていうのがあるんだなあと感じました。
 
 三島さんには内田樹氏の「街場の文体論」にサインしてもらった。
 「えーっ!内田先生の本に!?そんな恐れ多い、内田先生が聞いたら・・・でも「まあいいけど」ってきっと言うんですけど、いっつも。小さく書いとくんで、内田先生にはもっと大きくサインしてもらってくださいね。」
 おちゃめである。
 ありがとうございました!


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