花いけバトル Spin-off edition in 宮島「大聖院」
2014.9.7(日)宮島・大聖院にて
「花いけバトル」Spin-off edition。
寺本、司会として参加させていただきました。
「花いけ」バトルとは。
華道家、アーティスト、フローリスト・・・
ジャンルや流派を越え、シンプルなルールのもとに花をいける。
観客の目の前で、制限時間は5分間。
いける所作、動き、表情、完成した花・・・
ジャッジは観客。そのたった数分で観客を魅了したほうの勝ち。
photo 田頭 義憲
東京から、広島、山口から、バトラーが集結。
バトル開始前の、張りつめた緊張感。
「レディー・・・・」カーン!!!
ゴングの音と同時に5分間の花いけバトルが始まる。
赤コーナー、青コーナーの両者、開始と同時に花を取りに動く。
大きな枝をいきなりノコギリでひく人、
でかい流木をがしんと突っ込む人、
繊細な枝を組み上げる作業に時間をとり、いつまでも花器が空な人、
大輪の花を、贅沢にどんどん重ねていく人、
バトラーによってこれほどまでに違うのかと驚く、花いけのスタイル。
5分間って、長いのか、短いのか?
「5分間ってね、そんなん無理だって!っていう時間」
解説の中村俊月氏に教えてもらった。
通常のデモンストレーションは15分くらいかけて作品をつくる。
そんなに時間かけて、作れるのあたりまえ
そうじゃなくて、極限状態で、いかに美しいものをつくり出せるか。
戦うのは対戦相手なんかじゃなく、バトラー自身。
その時間ギリギリまで、どこまでやれるか、なにがやれるか、
おまえ、自分を越えてみろよ!
実力の120%、150%という「未知の領域」
本人もまだ見たことのない自分をさらけだす5分間。
そういうところに、奇跡のように現れる「心震える花」を見たい
それが「花いけバトル」なんだと。
ゴングの音で試合終了。
1分間の鑑賞タイムの後、観客のジャジメントタイム。
180名ほどの観客それぞれもまた、息をつめて目撃した花いけに
瞬時にジャッジを下さなくてはならない。
プロの評価と違ってあたりまえ
なぜ青が? 赤のどこが? あなたの心をとらえたのか。
拮抗する票。
僅差で決まっていく、勝敗。
どよめく会場、かたく握手をかわすバトラー。
無情にも完成した花は、すぐさま抜き去られ、空の器が次のバトルを待つ。
なんて儚い美しさなんだ。
解説は、花いけバトル実行委員の中村俊月氏。
はさみをマイクに持ち替えて、発足からの熱い思いを解説していただいた。
「いいですね、いい選択ですね」
「あの花はさっきも使ってましたね、同じ花は見たくないですね」
「あれはルールではOKですが、あのいけ方を観客がどうジャッジするか」
的確で辛口で愛のある解説。
「花いけバトル」Spin-off edition in香川・観音寺での優勝者
華月流家元嗣 細川康秀氏も解説に加わっていただいた。
司会のプロではない寺本は、冴えない滑舌のかわりに
「花いけバトル」って何なのか
観客の方がどう振舞えばいいのか
「花っておもしろい!」と思ってもらうにはどうつなげばいいのか、
その辺りをすこしでもお伝えできればと思って話した。
バトラー直近の司会者席、
切った枝が弾け飛んでくる
花をとって走って帰ってくる
残り時間カウントがすすむにつれ手の動きが速く速くなっていく
目には見えないけど
ちりちりするような圧倒的な気迫がせまってきて、
ちょっと怖いくらいだった。
最後の数秒
明らかにスイッチが入ったという表情
5、4、3、2、1、
動くな!
と念じて花から離す指
たまらない一瞬が、毎バトルそこにあった。
これが「花いけバトル」なのか、とやっとわかった。
そして優勝は、山村多賀也!
“勝者はバトルを勝ち残った1名ですが、
もしかしたら
見る者の記憶に強烈に印象を残すことができていたとしたら
それが真の勝者かもしれない”
過去の記事にそんな言葉があった。その通りだと思う。
終了後は、今日の花をバトラーが束ねてチャリティー販売。
広島市西部の大規模土砂災害義援金として後日、中国新聞社の窓口へ
ブーケ販売と募金箱 合計 64,972円が届けられた。
別室では小・中学生の花いけワークショップ。
バトルのときとはまるでちがう、やさしい表情の先生方。
バトル終了後、
S U n D A Y S morning アキラくんのスムージーで乾杯。うまし。
「花いけバトルに参加するバトラー、
そこに共通の思いがあるのではないかと思います。
今の世の中には本当に花が必要で、
その花を通じて、
人々の心に平和が訪れることを切に願っている。
そのためにもこのイベントを通じ
花の持っている可能性を引き出し、目撃していただきたい」
主催者の願いは、きっと来場者に届いたと思います。
悲しみに、一輪でも花を。
幸せなテーブルに、小さくても花を。
バトラーの技、情熱、すごいヴァイブレーションが
見た人の心に勇気の火をつけたと思います。
バトラーの皆様、スタッフの皆様、観客の皆様、
そして大聖院の方々と、目には見えないご神仏の皆様
ありがとうございました。
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